この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
芦屋の地で描き続けた画家、伊藤継郎(いとうつぐろう 1907-1994年)をご存知でしょうか。
伊藤は大阪の画塾で学び、1928年に芦屋へ転居、この地にアトリエを構えます。複数の美術団体展に出品して研鑽を積んだのち、1941年に新制作派協会(現・新制作協会)へ入会、発表の拠点と定めました。温厚な人柄の伊藤を慕って、芦屋のアトリエには画家仲間や文化人が集ったほか、絵画教室も開かれ多くの人々が学びます。1948年には芦屋市美術協会の創立に参加。その中心人物として、芦屋市展や童美展(児童対象の公募展)の審査を務めました。このように、昭和から平成にかけて芦屋の美術の中心には、伊藤の存在があったのです。
伊藤の絵画は、日常の一場面や人物、動物、旅先の風景や異国の人々など、自らが心惹かれたモチーフを見つめ、愛情豊かに描くものでした。友人の小磯良平は、伊藤のモチーフのとらえ方を「眼の前にあるものが彼の頭の中を通過することによって、忽然として彼の造形に変化して出て来る」(『なにわ会シリーズ小冊子「伊藤継郎」』梅田画廊、1964年)と評します。その絵肌は、絵具をあつかう独自の方法によって、実に質感豊かです。「ものを見て、絵具で描く」―伊藤はこれ以上なくシンプルな絵画のあり方を探求しましたが、生み出したのは、彼にしか描けない絵でありました。
芦屋市立美術博物館は1991年の開館の年、伊藤継郎の回顧展を開催しました。このたび32年ぶりに、没後としては初の大規模な伊藤継郎展を開催します。約60点の伊藤作品とともに、伊藤が画家として歩む中で交流した約20名の多彩な画家たちの作品を展観し、当時の洋画界の様相をご覧いただきます。そして、唯一無二な伊藤絵画の内実に「モチーフ」「技法」という観点から迫り、伊藤の画業の再検証を試みます。
何を、どう、描くのかー。伊藤の絵画を通して、絵を描くとはどういうことかと、考える機会となりましたら幸いです。
開催概要EVENT DETAILS
| 会期 | 2023年4月15日(土)~2023年7月2日(日) |
|---|---|
| 会場 |
芦屋市立美術博物館
|
| 住所 | 兵庫県芦屋市伊勢町12-25 |
| 時間 |
10:00~17:00
(最終入場時間 16:30)
|
| 休館日 | 月曜日 |
| 観覧料 | 一般 800円(640円) 大高生 600円(480円) 中学生以下無料
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| TEL | 0797385432 |
| URL | https://ashiya-museum.jp/ |
芦屋市立美術博物館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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出展作品・関連画像IMAGES
伊藤継郎 《鳩を配した裸婦》 1937年 油彩、布 芦屋市立美術博物館蔵
赤松麟作 《裸婦》 昭和初期 油彩、布 大阪中之島美術館蔵
小出楢重 《横たわる裸女A》 1928年 油彩、布 芦屋市立美術博物館蔵
田村孝之介 《黄衣婦人像》 1936年 油彩、布 神戸市立博物館蔵
伊藤継郎 《二人の司教》 1968年 油彩、布 芦屋市立美術博物館蔵
小松益喜 《古風な門・古風な家》 1936-37年頃 油彩、布 神戸ゆかりの美術館蔵
伊藤継郎 《裸婦》 1947年 油彩、布 芦屋市蔵
田村孝之介 《裸婦習作》 1947年頃 油彩、布 神戸ゆかりの美術館蔵
白髪一雄 《文》 1954年 油彩、布 芦屋市立美術博物館蔵




