この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
1926年に宮沢賢治は「農民芸術概論綱要」を書き、また同年に農業と農民芸術の学校である羅須地人協会の設立を宣言した。こうした活動に象徴的なように、宮沢賢治が短い生涯に残した童話や詩からは、大地に生きる人々の営みと宗教の融合、それ自体が芸術となり、その全体において宇宙が形成されるという世界観を見ることができる。
一方で、原始・古代に目を向けると、縄文土器は世界最古のやきものの一つとされる。特に縄文時代中期の土器、あるいは人のカタチをした土偶は、呪術性と信仰、装飾性、造形性が一体となったと評されるもので、今日では美術的に高い評価が与えられている。
この縄文土器の美質を世間に広く認知させた一人が岡本太郎である。岡本は日本の風土性を探究する為に民俗学的視点を通じて東北や沖縄など日本各地を旅し、膨大な写真やエッセイを残している。これらは岡本の旅した記録であるとともに、風土が有する記憶でもある。そこでの岡本の眼差しは、現代の日本の発展から取り残されたものごとに向けられているが、それはそのまま鋭い現代社会批判へと繋がるものである。
また、1952年に日系アメリカ人彫刻家イサム・ノグチは神奈川県立近代美術館で埴輪など原始・古代の造形物からも影響を受けたテラコッタ、陶器の作品による展覧会を開催している。イサム・ノグチは世界中を旅し、民族や神話、古代芸術、遺跡などへと視点を向けることで、芸術を通じてコミュニティーと関わることへの関心を深めていく。ノグチの制作した彫刻や庭園、大地を彫刻すると述べたプレイグランドなどは、自然と人為が高度に融合したものであり、その土地固有の環境や歴史、人との関わりを強く感じさせるものである。
本展では、宮沢賢治の思想を出発点におき、縄文土器や土偶、埴輪の名品に加えて、これら原始・古代の造形に触発されることで芸術的行動を展開させた岡本太郎の写真やイサム・ノグチの彫刻、装飾や「土」、風土をテーマに制作活動を行う浜田庄司、栗木達介、伊藤慶二、ユン・ヒチャン、丹羽康博の作品などを紹介する。
◆関連イベント
・記念講演会「縄文人と自然との共鳴共感」
講師 小林達雄氏(國學院大學名誉教授)
日時 9月10日(土) 午後1時30分から3時
会場 本館地下講堂 ※参加費無料、予約不要
・スペシャルギャラリートーク
講師 小林達雄氏(國學院大學名誉教授)
日時 9月11日(日) 午前11時から12時
会場 本館第1展示室(縄文土器展示コーナー)
※中学生以下無料、高校生以上は観覧券が必要。予約不要
・縄文土器を焼こう
講師 岡安雅彦氏(安城市教育委員会)/鴻義成氏(陶芸家)
日時 制作:9月19日(月・祝)/野焼き:10月9日(日)
※雨天時の予備日:10月16日(日)
会場 制作:陶芸館/野焼き:西駐車場
定員 高学年の子どもとその保護者10組20名
※制作・野焼きのどちらとも参加できる方のみ、事前申込
・瀬戸の土・街・探索ツアー
日時 10月2日(日) 午前10時から午後4時まで
定員 25名
※参加費無料、事前申込
開催概要EVENT DETAILS
会期 | 2016年9月10日(土)~2016年10月23日(日) |
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会場 | 愛知県陶磁美術館 Google Map |
住所 | 愛知県瀬戸市南山口町234番地 |
時間 |
9:30~16:30
(最終入場時間 16:00)
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休館日 |
月曜日 ただし9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は開館、9月20日(火)、10月11日(火)は休館 |
観覧料 | 一般 900円(720円) 高大生 700円(560円) 中学生以下 無料
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TEL | 0561-84-7474 |
URL | https://www.pref.aichi.jp/touji/ |
愛知県陶磁美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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