この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
中原悌二郎は絵画研究をしていた1907年、ロダンの《考える人》の写真版を手に入れ魂を大いに揺さぶられました。1908年に荻原守衛が帰国するとその作品や芸術談を通してロダン芸術の真髄を吸収し、ほどなく彫刻家としての歩みを始めることになります。
当時はロダンの作品はまだ日本になく、中原は「死ぬまでにたった一目でも」と渇望しますが、その願いが叶ったのはようやく1912年になってからのことでした。前年にロダンから白樺派に寄贈された三作品(《マダム・ロダン》《ゴロツキの首》《小さき影》)を第四回白樺美術展で見ることができたのです。中原はこの三つの彫刻が「自分等の行くべき道を指示し、かつ確信を与へてくれた」(1913年)と述べています。その後もロダンの彫刻写真のほか、高村光太郎や木村荘八の翻訳書を愛読することで、ロダン芸術への傾倒を深めていき、ついに「ロダンの芸術は自然そのものの如く真実である」「私は(ロダンの)模倣を以て甘んじましょう」(1916年)と述べるにさえ至っています。
こうしたロダンへの傾倒は《女のマスク》(1910年)から《墓守老人》(1916年)に見られるロダン的な流動性の感じられるタッチに表われています。ところが、《行乞老人》《若きカフカス人》《平櫛氏像》のタッチは、ロダンのような流動性が感じられず、粘土を流さずに一点一点断定的に粘土を付けていったような感じを漂わせるものに変化しています。ロダンを目指しながらロダンから離れるような中原独自のタッチが生まれたプロセスはよくわかりませんが、いずれにせよこの三作品が日本の近代彫刻に高い領域をもたらしていることは確かです。
中原の作品は胸像が多いこともあって、それぞれの特質を比較検討しやく、制作順に鑑賞していくと、段階的に作品のクオリティが確実に高まっていくのを感じ取っていただけると思います。
開催概要EVENT DETAILS
会期 |
2021年3月28日(日)~2021年5月16日(日)
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会場 | 碌山美術館 Google Map |
展示室 | 第二展示棟 |
住所 | 長野県安曇野市穂高5095-1 |
時間 |
9:00~17:10
(最終入場時間 16:40)
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休館日 |
年中無休 ※11月~4月は、月曜日と祝祭日の翌日 ※12月21日~12月31日 |
観覧料 | 大人 700円(600円) 高校生 300円(250円) 小中学生 150円(100円) ※( )内団体20名以上
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TEL | 0263-82-2094 |
URL | http://rokuzan.jp/ |
碌山美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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