この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
スタジオジブリ作品に数多く登場する「架空の建造物」を、現実の建物を見るように、建築家の藤森照信氏が監修したジブリの建築展です。
「風の谷のナウシカ」から「思い出のマーニー」までイメージボード、美術設定、背景画といった映画制作資料の原画450点以上と立体模型の数々が展示されます。不思議な魅力をもつジブリ作品に登場する建造物に焦点を当て、平面作品と立体作品が融合した展示空間が構成されます。
◆ 部分を見れば、全体が見える。
スタジオジブリは1985年の創立以来、多くのアニメーション作品を発表してきました。作品中にはドラマが起こる舞台として、沢山の「建造物」が登場します。
本展覧会では出発点となった「風の谷のナウシカ」から、「思い出のマーニー」まで、作品に登場する建造物の、背景画や美術ボード、美術設定といった制作資料を公開。代表的な建造物を立体で表現し、その設計の源に触れます。
一般に、建物の持っている魅力とは何でしょうか。その一つは建物と人との接点にあります。人が住む建物は、人の暮らしに欠かせないものです。しかし近年に見られる建物は本来の魅力から離れ、人と建物に大きな距離があるように感じられます。それは私たちが、一番近くにいるのに見落としているものの一つであり、ふと気づくと忘れてしまいそうなものです。
一方、スタジオジブリがアニメーションという架空の世界の中で創造してきた、数多くの建造物たち。「油屋」を始め、「カルチェラタン」、「ハウルの動く城」、「万福寺」、「グーチョキパン店」、「草壁家」、「ラピュタ城」等々、毎作、その作品を特徴づける個性的な建造物がいくつもデザインされてきました。それらの魅力はアニメーションの世界だけに留まるものではなく、どれも印象的で、どこかに実在していそうな存在感のあるものばかりです。
映画というもの、とくにアニメーション映画は画面に映るすべての世界を描き出さなくてはなりません。しかし見方を換えれば、理想を映し出せる装置と言えます。この中で空想された建造物。しかし、ただの「空想」とは違います。現実の世界を注意深く観察した上で、登場人物の生活、時代などの想定、検証を十二分に経てデザインされたものであり、何より登場人物との関係性が建物としての魅力を高めています。
それは私たちが生きる、現実世界でも同じことです。あらゆる文化、あらゆる環境に合わせて建つ建物の中で、あらゆる人が生活をしています。本展覧会に展示される作品を入り口とし、人と密接な関係を持つ、建物の魅力を伝えます。
◆ 空想的で現実的な建物
ジブリのアニメーションに登場する建物には、他とは違う特徴があり、現実的であると同時に空想的です。たとえば、『千と千尋の神隠し』の湯屋も、『ハウルの動く城』も、姿形はとても空想的なのに、間取りや構造や材料や細かい作りを見ると、用途や力学を理解したうえで想像力をはばたかせていることが分かります。お金と時間さえかければちゃんと出来るー見る人にそう思わせる力があるのです。
もう一つの特徴は、『となりのトトロ』のサツキとメイの家が洋館と和館の二つからできていることです。少し難しくなりますが、人間の中には意識と無意識の二つの領分があり、この家の場合、明治時代にヨーロッパから新たに入ってきたオシャレな洋館は意識の、伝統と共に長く長く生きてきた和館は無意識の、それぞれ器となっています。
そして、子どもにしか見えないススワタリがこの家に住み、やがてトトロのところに移ってゆきます。 大人と子ども、意識と無意識、人工物と自然、そんな問題を考えながらジブリの建物を見ることも可能です。
開催概要EVENT DETAILS
会期 | 2016年7月15日(金)~2016年9月25日(日) |
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会場 | 豊田市美術館 Google Map |
住所 | 愛知県豊田市小坂本町8-5-1 |
時間 |
10:00~17:30
(最終入場時間 17:00)
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休館日 |
月曜日 ※ただし、7/18(月)、8/15(月)、9/19(月)は開館 |
観覧料 | 一般 1,400円(1,200円) 高校・大学生 1,000円(800円) 中学生以下無料
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TEL | 0565-34-6610 |
URL | http://www.ctv.co.jp/event/ghibli2016/ |
豊田市美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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