この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
公益財団法人川端康成記念会が平成14年から開催してきました「川端康成コレクション」を中心とする展覧会の一環として、このたび横光利一の生誕120年を記念し、そのゆかりの地、三重県立美術館にて「川端康成と横光利一」展を開催します。
川端康成(1899-1972)と横光利一(1898-1947)。同世代のふたりはともに1920年代初めに文壇にデビューし、菊池寛の紹介で出会います。
1924(大正13)年、ふたりは仲間とともに同人誌『文芸時代』を創刊、新感覚派と呼ばれ、新たな文学を担う作家として注目されました。清新な創作活動とともに、新感覚派映画連盟を結成して映画製作にも関わるなど、ふたりはこの当時、モダニズムあるいは前衛芸術の推進者でもありました。
1930年前後、横光は、問題作「機械」や長編「上海」を発表し、一方、川端はモダンな風俗を描いた「浅草紅団」を執筆、新興芸術派の活動にも関わりました。ともに心理主義風の実験的な小説を試みたのもこの頃です。
川端は前衛画家、古賀春江と親しく交わり、一方、横光の著作に斬新な装幀を施したのは、二科のモダニズム画家、佐野繁次郎で、佐野は以後も横光の多くの作品の装幀や挿絵を手がけました。
30年代半ば、横光は独自の文学論「純粋小説論」を発表し、数々の小説においてこれを実践、「紋章」で第1回文芸懇話会賞を受賞するなど、「文学の神様」と呼ばれるほどの評価を受けます。同じ頃、川端は「雪国」の執筆を開始、後に日本近代文学を代表する名作とも見なされるこの小説を1937(昭和12)年に刊行し(完結は戦後)、やはり文芸懇話会賞を受賞しています。
30年代末頃から、横光と川端はそれぞれ異なるかたちで、ともに日本的なものへと向かっていったように思われます。横光は1936(昭和11)年にヨーロッパに滞在、パリでは岡本太郎と交流し、当地の前衛芸術家とも会いますが、帰国後、欧州体験をもとに発表し始めた長編「旅愁」では西洋に対する日本的なものの再認識へと向かいます。そして第二次大戦中、川端は日本の古典に親しみ、日本的な美意識への関心をさらに深いものとしました。
戦後まもなく亡くなった横光の告別式で、川端は弔辞を読み、「日本の山河を魂として君の後を生きてゆく」と述べています。川端の「日本の美」への傾倒は、自身の作品だけでなく、日本の古美術の収集にも表れ、浦上玉堂、池大雅、与謝蕪村をはじめとする優れたコレクションが形成されました。
また、著作の装幀も担った東山魁夷、安田靫彦ら、現代の日本画家も川端文学の日本美にふさわしい作品を寄せています。
本展では、川端康成と横光利一の作品世界や二人の交流を、川端康成コレクションを中心に資料や関連する美術作品によって紹介します。
開催概要EVENT DETAILS
会期 |
2018年10月27日(土)~2018年12月16日(日)
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会場 | 三重県立美術館 Google Map |
住所 | 三重県津市大谷町11 |
時間 | 9:30~17:00 (最終入場時間 16:30) |
休館日 |
月曜日 ※祝日休日にあたる場合は開館、翌日休館 ※年末年始(12月29日~1月3日) ※メンテナンス休館を行う場合があります |
観覧料 | 一般 1,000円 (800円) 学生 800円 (600円) 高校生以下 無料
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TEL | 059-227-2100 |
URL | http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/index.shtm |
三重県立美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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