この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
滋賀県立近代美術館が大規模な増築・改修をおこなうにあたり、その休館中に同館のコレクションの一部を和歌山県立近代美術館で公開しています。
このコーナーでは、日本美術院展覧会(院展)の出品作家を核とする滋賀県立近代美術館の充実した日本画コレクションを、「院展の画家たちⅢ」と題して特集します。
日本美術院とは、1898(明治31)年、東京美術学校(現在の東京藝術大学)を辞職した岡倉天心を中心に、ともに同校を退いた橋本雅邦、横山大観、下村観山、菱田春草らにより創設された美術団体です。今回は、大正初期から昭和初期にかけて日本美術院で活動した冨田溪仙(1879~1936)を紹介します。
溪仙は、郷里の福岡から画家を志し京都へ出て、当時新進気鋭の日本画家であった都路華香に学びます。その奔放な振る舞いから、しばしば「奇人」とも称された溪仙の独創性豊かな芸術は、そこに「活き活きとした妙味」を認めた俳人・河東碧梧桐というよき理解者を得て全国に知られることとなります。
やがて渓仙は横山大観にも才を見出され、1914(大正3)年に再興された日本美術院で活躍します。渓仙は、やまと絵や南画といった古画のほか、近代西洋絵画など、様々な美術へ幅広い関心を持ち、特に江戸時代の禅僧仙厓の画に傾倒しました。
禅画にも通じる、あたかも子供が描いたような技巧を排した渓仙の作風は、当時「今仙厓」と揶揄されましたが、溪仙の超然とした制作態度や作品は、駐日大使として来日していたフランス人の詩人・劇作家のポール・クローデルや、和歌山出身の詩人・佐藤春夫など、数多くの文化人に支持されました。
本展では、院展出品作《列仙》など5点の作品と資料を展示し、禅僧のような風姿を漂わせ、俗世に交わらずに芸術家としての真伨な創作活動を続けた冨田溪仙の画境をご覧いただきます。
開催概要EVENT DETAILS
会期 |
2018年8月4日(土)~2018年10月21日(日)
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会場 |
和歌山県立近代美術館
![]() |
住所 | 和歌山県和歌山市吹上1-4-14 |
時間 | 9:30~17:00 (最終入場時間 16:30) |
休館日 |
月曜日 9月18日、25日、10月9日が休館 ※9月17日、24日、10月8日は開館 |
観覧料 | 一般 340円(270円) 大学生 230円(180円)
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TEL | 073-436-8690 |
URL | https://www.momaw.jp/ |
和歌山県立近代美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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出展作品・関連画像IMAGES

冨田溪仙《雲上鶴図》1935頃 顔料、絹(二曲一双屏風) 滋賀県立近代美術館蔵

冨田溪仙《祇園夜桜図》制作年不詳 顔料、絹 滋賀県立近代美術館蔵

冨田溪仙《「列仙」のうち西王母》1920 顔料、紙 滋賀県立近代美術館蔵

冨田溪仙《保津鮎釣》1935頃 顔料、絹 滋賀県立近代美術館蔵