5.0
この妖艶さに惹かれます
うつくしいだけの美人画でもなく、なんとなくなまめかしい、それでいて本当に実在しているような気持ちにさせられて、見ていてドキドキしてしまう、そんな展覧会です。
下絵や習作の段階から念入りに計算されて緻密に描かれていることからも、作者の
繊細さやこまかさ、こだわりがみてとれてため息がもれるばかりでした。
点数もあまり多くないのについついじっくりと見てしまい、2時間以上かかりました。あと1週間ですが、ぜひぜひ。
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岡本神草(おかもとしんそう 本名・敏郎)は明治27(1894)年、神戸市に生まれました。彼は大正4年に京都市立美術工芸学校絵画科を卒業後、京都市立絵画専門学校に進学します。
最初は当時広く流行していた新南画風の作品を描いていましたが、大正5年頃から生涯のモティーフとなった舞妓を竹久夢二風に描くようになります。
その世界は浮世絵の影響を受けてしだいに濃厚な官能性を帯びるようになり、大正7年の第1回国画創作協会展(国展)に入選した《口紅》によって一気に開花し、新興美人画作家として注目を集めました。
大正9年、第3回国展に出品した《拳を打てる三人の舞妓の習作》では官能性の先にある神秘的な存在感を追究し、将来を期待されるようになります。その後菊池契月に師事し、新たな展開を模索するなか、昭和8(1933)年に38歳の若さで急逝しました。
今回は《口紅》、《拳を打てる三人の舞妓の習作》等のこれまでに知られている作品をはじめ、寡作で知られる岡本神草の数少ない完成作を可能な限り集め、可能な限り集め、素描・下図・資料類約100点の他に甲斐庄楠音など共に競い合った仲間や師の契月などの作品も展示します。
本展覧会は昨秋京都国立近代美術館で開催され、大きな反響を呼びました。東日本で唯一本展を開催する千葉市美術館は、巡回の最終会場となります。
会期 |
2018年5月30日(水)~2018年7月8日(日)
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会場 | 千葉市美術館 Google Map |
住所 | 千葉県千葉市中央区中央3-10-8 |
時間 |
10:00~18:00
(最終入場時間 17:30)
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休館日 | 6月4日(月)、18日(月)、7月2日(月) |
観覧料 | 一般 1,000円(800円) 大学生 700円(560円) 小・中学生、高校生無料
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TEL | 043-221-2311 |
URL | http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2018/0530/0530.html |
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うつくしいだけの美人画でもなく、なんとなくなまめかしい、それでいて本当に実在しているような気持ちにさせられて、見ていてドキドキしてしまう、そんな展覧会です。
下絵や習作の段階から念入りに計算されて緻密に描かれていることからも、作者の
繊細さやこまかさ、こだわりがみてとれてため息がもれるばかりでした。
点数もあまり多くないのについついじっくりと見てしまい、2時間以上かかりました。あと1週間ですが、ぜひぜひ。
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6月16日に千葉市美術館で開催中の「岡本神草の時代展」を鑑賞して来ました。
本展は昨秋、京都国立近代美術館で開催され、大きな反響を呼びました、関東では千葉市美術館のみでの開催で、かつ最後の巡回会場となります。出展数は178点とありましたが、うち岡本神草の作品は129点で、その大半は下絵や素描とのことでした。でも、彼の作品を纏めて開催するのは、おそらくは二度と無いと思い、千葉市美術館に足を運びました。この美術館は浮世絵の所蔵数も多く、ゆったりと落ち着いて鑑賞できる私のお気に入りの美術館の一つなのです。
会場に入ると、いきなり強烈な印象を与える代表作の「口紅」という作品が出迎えてくれました。若い舞妓さんが蝋燭の灯りの前で、立膝付いて化粧をする様が何とも奇妙で官能的なのですが、愛らしくもあり、不思議な世界に誘われた感じでした。私だけでなく、来場者の殆どの方々が何度も繰り返して観たり、また後戻りして鑑賞していました。今でもしっかりと脳裏に焼き付いています。
「口紅」を含めて、私の印象に残ったベスト5は以下の通りです。
「仮面を持てる女」という作品は般若の面を持ち、こちらを向いて微笑んでいる絵です。
背景的には何も無いのに、浮き出ていて、目・鼻・口は特に写実的です。
若い女性が夜道を行灯の僅かな灯りを持って歩いているさまを描いた「美人」という作品は、上村松園の絵にも似た作品で妖艶で、購入した図録の絵を机の下の暗い場所で観ても、女性の顔と行灯が白く浮かび上がるから不思議です。
「追羽根」は羽子板で羽根を打ち返そうとするさまが実に躍動的で、手足の表現が自然体そのものになっています。「婦女遊戯」は手毬を付く女性と紙風船を手で跳ね上げる女性が描かれていて、お揃いの着物の絵柄の艶やかさも際立っています。
岡本神草は昭和8年に脳溢血のため、享年38歳で、この世を去ります。本当に惜しまれる早すぎる生涯です。それだけに今回の纏まった展覧会は貴重なのですね。
私としては、また一人、心に残る、そして実力の持ち主の画家と貴重な作品に出合えて、本当に良かったと思える展覧会でした。
是非、皆さんも千葉市美術館へ出掛けてみては如何ですか?
7月8日までの開催です。
同時開催として、同館所蔵の「浮世絵黄金期からの展開」も開催され、35点が展示されて… Read More
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招待券が当選し見てきました。私は日本画は詳しくないのですが、日曜美術館で紹介された折、岡本神草の「口紅」を見て衝撃を受けました。これは何かある。そう思い、笠間市立美術館館長、上薗四郎氏の講演も拝聴いたしました。やはり神草は「口紅」と「拳を打てる三人の舞妓」の2点、この絵を描くために生まれてきた画家だと実感いたしました。しかも大正4年から大正10年の短い間に濃厚で妖しく花開いた稀有な才能でしょう。また、神草だけでなく、京都の画壇には、単なる人物絵画ではない究極の精神性の表現を目指した画家たちがいたということです。講演会場もほぼ満員で熱心な方々が多く、モデルの舞妓は12から13歳であることや、甲斐庄楠音のいわゆる“穢い絵事件”も巷間で語られている土田麦僊との単なる確執ではないという上薗館長氏のご見解も興味深かった。
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