この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
熊本市現代美術館は、演劇作家である岡田利規(チェルフィッチュ主宰)が境界のありようをテーマにつくる6本の〈映像演劇〉によって構成される、演劇公演および展覧会「渚・瞼・カーテン チェルフィッチュの〈映像演劇〉」を開催します。
〈映像演劇〉とは、岡田が舞台映像デザイナーの山田晋平とともに取り組み始めた新しい形式の演劇であり、投影された映像が人の感覚に引き起こす作用によって展示空間を上演空間へと変容させる試みです。
映像はフィクションであり(=そこに実在していない)、しかし同時に岡田が書いたせりふを用いて演じる人物(役者)たちの姿は映像として実在しているとも言えます。観る者の想像力と結びついてそれらにリアリティが付与されたとき、展示の空間に〈映像演劇〉という上演が発生するのです。
岡田は〈映像演劇〉に、「演劇」というメディアそのものの潜在的な可能性を拡張させる大きな可能性を見出しています。テクニックや形式のレベルにおいて以上に、観る人が映像の中の人物(役者)を凝視するしかたや、実物大で投影された人物の映像がもつ特有の存在感といった感覚的な経験をもたらす特性を、演劇的と捉えているのです。
この演劇公演/展覧会のタイトル「渚・瞼・カーテン」は境界の、線や壁といった頑ななものとは異なる柔らかくて曖昧なありようについて想像するための、ヒントになるかもしれない三つの単語を並べたものです。
境界のありようをめぐる問題に現代の私たちは、政治・社会状況のレベルにおいても日常生活のレベルにおいても、否応なく呼応して生きています。〈映像演劇〉はそれ自体、「映像」と「演劇」という二つの異なる形式の双方にまたがりつつ新しい質をもった経験を生みだそうとする試みです。
〈映像演劇〉という演劇公演/展覧会の観客は、展覧会会場という現実の場所と〈映像演劇〉によって生み出されるフィクションという二つの領域を同時に経験することになります。「リアル」と「フィクション」、「舞台」と「観客席」といった領域さえも、不確かなものとなっていくでしょう。
そのことともあいまって、「渚・瞼・カーテン」は境界がつくりだす緊張や、外界を柔らかく受け止めるために必要かもしれない距離といったことに思いをめぐらせる機会をつくりだすものとなるに違いありません。
開催概要EVENT DETAILS
会期 |
2018年4月28日(土)~2018年6月17日(日)
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会場 |
熊本市現代美術館
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住所 | 熊本県熊本市中央区上通町2-3 びぷれす熊日会館3階 |
時間 | 10:00~20:00 (最終入場時間 19:30) |
休館日 |
火曜日 ※ただし5月1日は開館 |
観覧料 | 一般 1000円(800円) シニア 800円(600円) 学生(高校生以上) 500円(400円) 中学生以下 無料
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TEL | 096-278-7500 |
URL | https://www.camk.jp/ |
熊本市現代美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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出展作品・関連画像IMAGES

《The Fiction Over the Curtains》2017–18 プロダクションショット 撮影:加藤甫

《A Man on the Door》2017–18 プロダクションショット

《The Fiction Over the Curtains》2017–18 プロダクションショット 撮影:加藤甫

《楽屋で台本を読む女》2017–18 プロダクションショット

《第四の壁》2017–18 プロダクションショット 撮影:加藤甫

《働き者ではないっぽい3人のポートレート》2017–18 プロダクションショット

《Standing on the Stage》2017–18 プロダクションショット