5.0
悼むように静かに佇む作品達
今年亡くなられた舟越桂の展覧会。準備していた本人が観ること無く開催。
入館してアトリエの再現に細かく目を配って鑑賞する。
「聖母子像のための試作」「妻の肖像」も置かれ、壁には無数のメモが貼られ、、氏の息づかいを受け取りとても感慨深い。
アトリエを見守るように「冬の本」「砂と街と」が配されていた。
フロアを少し上がって「山と水の間」がポツンと真ん中に立ち、囲むようにデッサンが配されていた。。「おもちゃのいいわけ」のために別部屋が用意され、ほっこりしたおもちゃ達に氏の優しさがうかがわれる。
階段を上がって最後の広いフロアは、代表作「水に映る月食」「遠い手のスフィンクス」等々7体が、氏を悼むように静かに広く佇んでいた。一体一体は勿論のこと、空間自体が作品の感じがした。緊張感はありつつ静かな作品達はもの言わずそこ存在していた。
特に防御線は引かれていないので近くに寄ることもできたし、ぐるり360度作品それぞれを堪能できたのは嬉しい。氏特有のどこを見ているのかわからない視線はちょっと哀しい。
最後に出口近くに広く明るい窓に面して「立てかけ風景画」が。病床で描かれた本当に小さいイメージを観ていると、とても氏の不在がとても寂しく感じた。
別の館で氏の選んだ美術館所蔵品を観ることができたのも良し。
とてもとても大好きな作家だったので、とにかく残念だ。もう新作を観ることができないと思うと悔しくて仕方が無い……。直近でこの展覧会を観られたのだけは良かったと思うことにしよう……。
10月2日(水)9時半入館混雑無し。撮影不可。