感情がはち切れるくらい詰まった『無』の顔―森へ行く日―
3月に逝去された舟越桂氏の展覧会【森へ行く日】鑑賞へ、ウン十年ぶりの彫刻の森美術館を訪問しました。
生前から記念展覧会にと美術館からのオファーで着々と準備が進みながら、今秋ご本人不在で会期を迎えることになったのが残念です。
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遠くを見つめるまなざしを持った静かな佇まいの人物像で知られる彫刻家 舟越桂。生涯を通じて人間とは何かを問い続けた彫刻家の作品の変遷とその創作の源となる視線に迫ります。
聖母子像や性別を感じさせない静謐な空気をまとった人物像は、その後、人間という存在の大きさや不思議さを象徴する山のようなイメージの人物像や、「祈り」の思いや行為に人間の姿を与えたという考えに至った「水に映る月蝕」(2004年)、そして東日本大震災がきっかけとなって制作された「海にとどく手」(2016年)、さらに両性具有の身体と長い耳を持った、人間を見つづける存在としての「スフィンクス」へ辿り着きます。一貫して人間の存在をテーマにしながら、様々に変容を遂げる作品を舟越は自ら「心象人物」と名付けました。
「手と目と頭を使って人間の像を作ることで、思考だけでの理解を越えて、人間を把握することに変わっていかないだろうか。その時間のつみかさねで、私も人間について考えていると思いたい。」
ーー『言葉の降る森』角川書店
具体的には目に見えない、しかし現実に人間がその回りに抱える問題、祈りや思いなどに人間の姿を与えながら、人間について考えることで舟越は「人は皆それぞれ、たった一度の人生を生きていく初めての存在なのだ」ということを証明するための物語を紡ぎ出そうとしていたのではないでしょうか。本展が、自分と出会う場として、自分と向き合う時間として、皆様に届くことを願っております。
会期 | 2024年7月26日(金)~2024年11月4日(月・振) |
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会場 |
彫刻の森美術館
![]() |
住所 | 神奈川県足柄下郡箱根町ニノ平1121 |
時間 |
9:00~17:00
(最終入場時間 16:30)
|
休館日 | 年中無休 |
観覧料 | 大人 2,000円 大学・高校生 1,600円 中学・小学生 800円 未就学児 無料
|
TEL | 0460-82-1161 |
URL | https://www.hakone-oam.or.jp/specials/2024/katsurafunakoshi/ |
割引券 | http://www.hakone-oam.or.jp/corefiles/ticket.html |
3月に逝去された舟越桂氏の展覧会【森へ行く日】鑑賞へ、ウン十年ぶりの彫刻の森美術館を訪問しました。
生前から記念展覧会にと美術館からのオファーで着々と準備が進みながら、今秋ご本人不在で会期を迎えることになったのが残念です。
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4.0
アトリエの再現エリアやインタビュー映像、おもちゃなど、木彫以外の展示も多く、ファンにとっては嬉しい展覧会でした。同時開催されている「名作コレクション+舟越桂選」では舟越さんが顔部分を担当したオカピ像を観ることができます。人型の作品が主な舟越さんですが、オカピも美人さんで可愛かったです。
5.0
「舟越桂 森へ行く日」@箱根彫刻の森美術館
「どこに立っても目が合わない」と感じた方の感想があって、とても面白かったです。
私の感想は真逆で「どこに立っていても作品に見られている気がした」です。
舟越桂氏の人物彫刻は、斜視(左右の目線が少し違っている)もの、斜視のように見えるものが多く、確かにこちらがどこに立っていても「目が合わない」感じがするのですが、しかし、見る者がどこから彫刻を見ていても「こちらを観察されている」気配を感じます。腕が妙なところからはえていたり、顔が男、身体は女性の異質なものであったりしても、まったく表情がない作品が多いにも関わらず「生きて、思考している、こちらを見ている」気配を感じます。
展示会場で一番強く感じた感想は、「環境活動家なる者が、今ここに現れて作品を穢そうとしたならば、たとえどのような殺傷能力を持ったやつであったとしても、私はそれを止めに入るだろう、というものでした。何故自分がそのような感想を持ったのかを考えたのですが、それは「彼ら(=作品)が生きていることを感じた」からだと思いました。それはまさに、舟越桂が注ぎ込んだ命そのものでしょう。
舟越桂という作家を亡くしたことには、深い悲しみを覚えますが、しかし、この彫刻達が生きている限り、舟越桂は永遠なのだ、と感じた展示でした。
舟越さん、ありがとうございました。
5.0
今年亡くなられた舟越桂の展覧会。準備していた本人が観ること無く開催。
入館してアトリエの再現に細かく目を配って鑑賞する。
「聖母子像のための試作」「妻の肖像」も置かれ、壁には無数のメモが貼られ、、氏の息づかいを受け取りとても感慨深い。
アトリエを見守るように「冬の本」「砂と街と」が配されていた。
フロアを少し上がって「山と水の間」がポツンと真ん中に立ち、囲むようにデッサンが配されていた。。「おもちゃのいいわけ」のために別部屋が用意され、ほっこりしたおもちゃ達に氏の優しさがうかがわれる。
階段を上がって最後の広いフロアは、代表作「水に映る月食」「遠い手のスフィンクス」等々7体が、氏を悼むように静かに広く佇んでいた。一体一体は勿論のこと、空間自体が作品の感じがした。緊張感はありつつ静かな作品達はもの言わずそこ存在していた。
特に防御線は引かれていないので近くに寄ることもできたし、ぐるり360度作品それぞれを堪能できたのは嬉しい。氏特有のどこを見ているのかわからない視線はちょっと哀しい。
最後に出口近くに広く明るい窓に面して「立てかけ風景画」が。病床で描かれた本当に小さいイメージを観ていると、とても氏の不在がとても寂しく感じた。
別の館で氏の選んだ美術館所蔵品を観ることができたのも良し。
とてもとても大好きな作家だったので、とにかく残念だ。もう新作を観ることができないと思うと悔しくて仕方が無い……。直近でこの展覧会を観られたのだけは良かったと思うことにしよう……。
10月2日(水)9時半入館混雑無し。撮影不可。
5.0
作品を360度全ての方向から鑑賞できる展示方法が良かった
写真撮影は不可だが、かなり近づいて鑑賞することが可能
彫刻のためのドローイングも良い どんなイメージで制作していたかが感じ取れた
どこに立っても目が合わない遠い存在を感じ取れる企画展だった
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※この写真は所蔵者の許可を得て撮影しています。実際の展示風景と異なります。
《樹の水の音》2019年
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舟越桂