西川勝人 静寂の響き

DIC川村記念美術館

  • 開催期間:2024年9月14日(土)~2025年1月26日(日)
  • クリップ数:21 件
  • 感想・評価:5 件
西川勝人 静寂の響き DIC川村記念美術館-1
西川勝人 静寂の響き DIC川村記念美術館-2
西川勝人 静寂の響き DIC川村記念美術館-3
西川勝人 静寂の響き DIC川村記念美術館-4
西川勝人 静寂の響き DIC川村記念美術館-5
西川勝人 静寂の響き DIC川村記念美術館-6
西川勝人《根》1994年 作家蔵
©Katsuhito Nishikawa 2024
西川勝人《段丘》2013年 作家蔵
©Katsuhito Nishikawa 2024
西川勝人《シントラ》2009年 作家蔵
©Katsuhito Nishikawa 2024
西川勝人《蓮》1998–2000年 作家蔵
©Katsuhito Nishikawa 2024
西川勝人《無題》1986年 作家蔵
©Katsuhito Nishikawa 2024
西川勝人《池のほとり》2010年 作家蔵
©Katsuhito Nishikawa 2024
西川勝人 静寂の響き DIC川村記念美術館-1
西川勝人 静寂の響き DIC川村記念美術館-1
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西川勝人 静寂の響き DIC川村記念美術館-1
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この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION

ドイツを拠点に活動する西川勝人(1949–)は、光と闇、その間の漠とした陰影に心を配り、多様な技法を用いた作品を、40年以上にわたり手がけてきました。抽象的なフォルムをもつ彼の白い彫刻は、木や石膏を用いた簡素な構造ながら、表面に淡い陰影を宿し、周囲の光や音さえもそっと吸い込んでしまうように、ただ静かにあります。存在を声高に主張することも、個性を高らかに示すこともしません。写真や絵画など、彫刻以外の制作においても、これは変わることのない最大の魅力です。

本展は、1980年代より現在まで、一定して静けさという特質を保持し続ける西川作品の美学に触れる日本初の回顧展です。彫刻、写真、絵画、ドローイング、インスタレーション、建築的構造物の約70点が、作家自身の構成によって展示されます。静寂が拡がり、淡々とした時が流れる空間で出会うのは、きっと私たち各々の内なる静謐さでしょう。日常から隔たった美術館という場において、観想に耽る一人ひとりのための展覧会です。

◆ 西川勝人(にしかわ かつひと)
1949年東京生まれ。美術を学ぶため、関心を寄せていたバウハウス誕生の地ドイツに23歳で渡り、ミュンヘン美術大学を経て、デュッセルドルフ美術大学でエルヴィン・へーリッヒに師事。1994年以降、ノイス市にあるインゼル・ホンブロイヒ美術館の活動に参画し、美術館に隣接するアトリエを拠点に活動。自然との融合を意識したプロジェクトや、彫刻、平面から家具まで、異なる造形分野を横断しながら制作。シンプルな構造と簡素な素材を用い、光と闇、その間に広がる陰影について示唆に富んだ作品を生み出し続けている。現在はハンブルグ美術大学名誉教授として後進の指導にもあたる。デュッセルドルフ市文化奨励賞受賞。

開催概要EVENT DETAILS

会期 2024年9月14日(土)~2025年1月26日(日)
会場 DIC川村記念美術館 Google Map
住所 千葉県佐倉市坂戸631
時間 9:30~17:00 (最終入場時間 16:30)
休館日 月曜日 
(ただし祝日の場合は開館し、翌平日に休館)
12月24日(火)~2025年1月1日(水)
観覧料 一般 1,800円
学生/65歳以上 1,600円
高校生以下 無料
  • ※障害者手帳をお持ちの方と付き添い1名 無料
TEL050-5541-8600(ハローダイヤル)
URLhttps://kawamura-museum.dic.co.jp/

DIC川村記念美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION

DIC川村記念美術館 DIC川村記念美術館

感想・評価 | 鑑賞レポートREVIEWS

4.0

閉館を惜しむ多くの人

三連休の中日の訪問です。
3月末の閉館の前に足を運べてよかった。
同じような思いで、閉館を惜しむ人々が大集結です。駐車場は一杯、チケット売場は列に。レストランの予約はとうの前に完売。大変なことになってました。

西川勝人展。
当館2階の素敵な展示室空間との素晴らしいマリアージュです。

自然光溢れる200番室では、24枚のB4サイズのアクリルガラスが醸す淡くくすんだ色調のハーモニー。静謐だが、柔らかくもこんこんと、目に心に沁みてくる。本展の副題「静寂」の「響き」とは正に言いえて妙。

立体作品も良いが、202番室・203番室の壁面を飾るドローイングに心惹かれました。
一面が淡いグレーで塗られたキャンバス。多少の濃淡があり、最初は抽象に全振りの表現に見えたのですが。しばらく見ていると、水面やら空・雲やらがぼんやりと、そして結構荒々しく見えてくるから不思議だ。ターナーの更に霧だらけ、全面すりガラスのソール・ライター、とか連想しつつ。
この203番室の展示は他の方のコメントのとおり、真白なラビリンス空間でワクワク感に誘われます。午後一時過ぎ、ざっと数えて50~70人もの人々がこのラビリンス空間に居て、思いおもいに楽しんでいる光景は感慨深いものでした。

コレクション展示も溜息モノ。
最初の展示室の西洋近代絵画の超大家の銘品、専用室に掲げられたレンブラント自画像、ロスコ・ルームのシーグラム壁画。。。みんなこの先どこにいくの、きっとまた会えるよね、と語り掛けながら記憶に焼き付ける営みに勤み、どんどん時間が過ぎてゆきました。

ありがとうございました。惜別の想いとともに。

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にゃんちゅうさん、さいさん、アバウトさん、morinousagisanさん、Sukekiyo-Acckermanさん

5.0

ほんの些細で、微妙な変化は、まさに静寂

静寂の響きというタイトルはまさに言い得て妙。
DIC川村記念美術館は、初めてでしたが、見に行って良かった。
白が基調の美術館のなかで、アクリルガラスなど、最初は1色にみえるものが、しばらくみていると、いろんな色が見えてきたり、変化が面白い。
ゆっくり落ちてついて、のんびりみたい展覧会でした。自然光展示も良かった。

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Camdenさん

5.0

光と秋を感じる展示

展示室ごとに明確なコンセプトがあり、展示構成を含めて大変良かった

特にGallery203のラビリンスを意識した展示が魅力的
低い塀に区切られ、白い迷路のような展示室の床、壁、塀の上に作品がある。塀の上の作品越しに奥の作品を観ることを想定されているのも面白い。
展示室中央の「秋」は花びらが床に敷き詰められおり、近づくと華のような落ち葉のような秋の香りがふわりと漂う素敵すぎる 展示初期の頃は真っ白い花びらだったようで自分が訪れた時は半分ドライフラワーのように薄っすらと茶色がかっていた 時の変化が感じられ、その場でしか味わえない瞬間を味わうことができた 作品の経過は美術館のInstagramで確認することができる→https://www.instagram.com/p/DC6THTdz-RY/?img_index=1

光を表現又は透過させる静謐な作品群、DIC川村記念美術館の展示室に相応しいとしか言いようがない

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Camdenさん、morinousagisanさん

4.0

白い彫刻とモノクロ写真を白い迷路で見せる

DIC川村記念美術館というと美術と自然が楽しみな場所で、年に2回か3回は訪問してます。たぶん1998年に「なぜ、これがアートなの?」という企画展を見に行ったのが最初のような気がする。その後、ゲルハルト・リヒターのATLASとか、いくつか印象深い美術展がありました。まあ、いろいろあって、これが最後の企画展になるかもしれない「西川勝人 静寂の響き」については、かなり混雑しているらしいので、少々躊躇していたのですが、天気もいいので行ってみました。

DIC川村記念美術館に行くときは、東京駅のそばにあるバス停から9時55分に出る長距離バスに乗るのですが、通常はせいぜい10人以下で、とても空いています。ところが今回はほぼ満席。それも、バス1台では足らなくて、増発になりました。ちょっと失敗したかな、と思ったのですが後の祭り。実際、美術館に到着したとき、かなり広い駐車場は車で満杯でした。そしてチケット売り場にも短いけど行列ができてました。

ところが、会場に入ると、そんなに混んでない。企画展の前にあるコレクション展示のところは比較的、観客がいたのですが、「西川勝人 静寂の響き」の会場は混雑していない。まあ、意外なことにゆっくり拝見出来ました。彫刻、写真、絵画、ガラスといろいろな素材と形態を採用して作品が作られているのですが、タイトル通りしんとした静かさを纏っていることは変わらない。こういったミニマルな作品の展示って、単調なものになりそうなんですが、最後の展示室が別のリズムを与えてくれた。《ラビリンス断片》と名付けられた高さ1m、幅50cmの白いパーティションで空間を9つに区切って、その9つの空間をゆっくりと巡るわけです。かなり斬新な見せ方です。写真撮影不可、展示替えなし、図録ありでした。

展示を見終わったあとは、庭を見て回って、ヘンリー・ムーアの《ブロンズの形態》などの屋外彫刻に名残を惜しんできました。ちなみに庭には、美術館に行くというよりは、庭の紅葉を見に来た人たちがそこそこいて、バスが混雑していた理由はこの辺かなと思われます。

THANKS!をクリックしたユーザー
さいさん、morinousagisanさん、Camdenさん

4.0

DIC川村記念美術館ならではの鑑賞体験

千葉県に住んでいて車で40分ほどで行ける近距離なので、DIC川村記念美術館は何回も来ています。
今回は、休館すると発表されて、これが最後になるかも知れないということで、再訪しました。西川勝人というアーティストは知らなかったので、休館の話がなければ、スルーしていたかもしれません。
でもあまり知られていないアーティストに光を当てたり、他の美術館がやらないようなテーマで攻める企画は、DIC川村記念美術館の魅力です。
都心から離れた千葉の郊外にあって、ニッチなテーマの企画展をやるので、なかなか人が多く来る訳でなく、採算が採れないのは当たり前ではあります。
経営的には確かに難点がありますが、今回の企画展も、新たな発見・出会いがあって、少なからぬ刺激をもらえる好企画でした。

西川勝人の作品は、基本的に白い彫刻や絵画です。そこに淡い陰影が表現されている程度です。ご本人も色そのものに興味はないとおっしゃっているそうです。光と闇がテーマとのこと。
最初の展示は、Gallery200という大きな窓があって、外光が降り注ぎ、外の景色が見える空間です。そこにアクリルガラスとクリスタルガラスを使った作品が展示されています。こんな展示スペースがあるからこそ実現できる表現で、他の美術館では真似できません。
圧巻なのは、後半で展示されている「ラビリンス断片」。個々の作品も配置されていますが、迷路のような空間がひとつの展示作品になっています。広い展示空間に、個々の作品がポツンポツンとリズミカルに配置されていて、巡ると吸い込まれるような感覚になります。静謐さに包まれた白い空間に身を置いて、じんわりと身体全体で感じるといった鑑賞体験です。
DIC川村記念美術館の常設展示の目玉は、ロスコルームですが、それに似た体験ができる展示空間になっています。
やっぱりこんな美術館は他にはないので、存続して欲しいと切に願います。

THANKS!をクリックしたユーザー
Camdenさん、Rikashさん、アバウトさん、uchikoさん、morinousagisanさん

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出展作品・関連画像IMAGES

西川勝人《根》1994年 作家蔵
©Katsuhito Nishikawa 2024

西川勝人《段丘》2013年 作家蔵
©Katsuhito Nishikawa 2024

西川勝人《シントラ》2009年 作家蔵
©Katsuhito Nishikawa 2024

西川勝人《蓮》1998–2000年 作家蔵
©Katsuhito Nishikawa 2024

西川勝人《無題》1986年 作家蔵
©Katsuhito Nishikawa 2024

西川勝人《池のほとり》2010年 作家蔵
©Katsuhito Nishikawa 2024

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