2024年 秋、2会場でハニワを巡る(東京国立近代美術館・東京国立博物館)
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- by RocketPenguin

この秋、東京国立近代美術館と東京国立博物館にて、埴輪をテーマとする展覧会が同時期に開催されています。埴輪という共通点はあるものの、切り口の違う二つの展覧会。その見どころををレポートします。

まずは2024年10月1日に開幕した東京国立近代美術館「ハニワと土偶の近代」から。
こちらの展覧会は一言でまとめると、近代の人々が古代の埴輪を再構成した作品が集められています。
埴輪や土偶など、古墳時代〜弥生時代の遺跡から出土された当時1800年代では、その芸術的価値にあまり注目されていなかったようですが、明治時代〜近代の人々がその価値を見出し、絵画や彫刻に再構成しています。
私は遺跡としての埴輪しか知らなかったので、見た事もない新鮮な作品の数々でした。
使われ方としては、1938年、日中戦争をしていた時代。戦争への日本国の人的統制に、埴輪が利用されていたとのこと。埴輪にはどこか従順なイメージがあるのか、「日本人の理想」として語られていたようです。
その後も埴輪は絵画のモチーフとなり、脈々と受け継がれていきます。そこからの岡本太郎をはじめとする芸術家の作品につながります。
岡本太郎は1951年(昭和26)に東京国立博物館で開催された「日本古代文化展」を訪れ、そこで縄文土器を見て、縄文に芸術的な価値を感じたようです。そう聞くと、太陽の塔もどこか埴輪の人物のデフォルメを模しているように感じます。
今回の展示では彫刻作品や絵画の作品で再構成された、たくさんの埴輪や土偶をみることができます。

それから2024年10月16日に開幕の東京国立博物館 挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」へ。こちらの展覧会は出土した遺跡の埴輪、もしくは修復された埴輪が集められています。
タイトルにもある、国宝 埴輪 挂甲の武人(けいこうのぶじん)が一番の目玉と言えるでしょう。時代ごとに制作された別バージョンが国内外から一堂に集められており、その違いを見るのも楽しいし、制作当時の彩色を再現したレプリカも、初めてみるカラーの埴輪で新鮮です。
他にも私が感動したのは動物の形をした埴輪や家の形をした埴輪の数々です。特に家の埴輪は単なる家、ではなく、もがり(お墓が完成する前や本葬の前に、遺体をしばらく棺などに納めておくこと)の家だそうです。古代の人々が死者を大切に扱っていたことがわかり、なんて知的な側面を持った人々なんだろうと、心がじんときました。重要文化財にもなっている家形埴輪はたくさんのバリエーションがあり、こちらも見逃せない埴輪の一つです。

最後に、中学生以下はいずれの展覧会も無料で入場できます。中学生以下向けにジュニアガイドなるものが配布されており、こちらを持参するとはに丸くんとはなかっぱのシールももらえます。
お子様と一緒に両展覧会を巡るのもおすすめです。