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田部美術館(たなべびじゅつかん)は、島根県松江市にある、2015年7月に国宝認定された松江城の城下町、塩見縄手(しおみなわて)と呼ばれる通りにある。
塩見縄手は、建設省「日本の道100選」にも選ばれ、松江市伝統保存美観地区にも指定された歴史風情を残すお堀沿いの道。その一角、小泉八雲旧居に隣接して、田部美術館があり、武家屋敷特有の長屋門(松江市指定文化財)が情緒を誘う。
しかし、長屋門をくぐると、赤錆色の大きな屋根を冠した白亜の建物が忽然と現れ、一見、沖縄の屋根のような南国風の建物のようで、不思議な存在感に思わず立ち止まってしまう。赤錆色の大きな屋根は、入母屋造りという、東南アジアで用いられてきた伝統的な屋根の造りなのだそうだ。この田部美術館の建物は、島根に多くの建築作品を残した、福岡県久留米市出身の菊竹清訓(きくたけきよのり)氏の設計による。
田部美術館は、実業家であり政治家でもあった田部長右衛門(たなべちょうえもん)氏によって1978年9月に財団が設立され、翌1979年11月に開館した。田部長右衛門は、奥出雲の山林王であった田部家の23代の当主であり、自らもお茶や作陶に親しんだ。宮崎駿の映画「もののけ姫」に登場する和鉄を造るタタラ場は、かつて田部家が経営していた菅屋タタラがモデルとなっている。
田部家は、江戸時代に全盛を極めた「たたら製鉄」を生業とし、550年ほどの歴史がある。「たたら製鉄」は、大量の木炭を燃料として使用したため、それを賄うためにふんだんの木材を確保しなければならず、そのために広大な山林を有したことから山林王と言われた。
田部美術館の入母屋風を呈した大屋根には、「コールテン鋼」という鉄素材が用いられており、それが一面に赤錆色を呈している。田部家の歴史ある「たたら製鉄」事業の由縁を表現しているかのようである。
田部美術館には、松江藩七代藩主松平不昧公の顕彰と、茶道文化の普及にも努めた田部長右衛門氏の寄贈による、田部家伝来の茶道関連の美術品が収蔵されている。不昧公の愛蔵品や御好み道具(お抱え職人に注文してつくらせたもの)を含む茶道具類、楽山焼・布志名焼など、郷土の工芸品などあわせて約80点が展示されている。館内の一角には喫茶室もあり、お抹茶とお菓子を味わうことができる。
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