4.0
大会場ならではの大規模作品は、見応えある
洋服の生地につかわれそうな印象的なストライプ、ドット柄等を多用するグラフィック作品の展覧会。作家初の個展らしい。太い幅のストライプが波打つような柄が多く、見ていて楽しくなる。特に、横5メートルを超えるような大判の作品は、”mimoca” のような大きな展示会場で観ると本当に映えて、美しさが引き立つ。この建物は、展示室の横に細い展示室(というか、通路)があるのだが、そこに製作の様子を撮影した写真(ポートレート)が多数展示してあり、おもしろかった。パソコン画面上で模様のつくりをおおよそ作成してからキャンバスに手描きというのは、現代のつくりかたなのだろう。フライヤーも、4色展開(!)で、生地がひらひらするイメージをあらわすように、文字が波打ち、印刷物も裁断するときのずれを思わせるようなデザイン(だとおもう)で、細部まで凝っている。
もっとも、作品はどれも似た調子で単調に見えてしまうかもしれないし、ポップな作品のわりに展示が伝統的な展示方法のまじめ一点張りで、スカーフのような生地を動かす動画以外には、まったく変化に乏しい展示だったのは、やや残念。作品のヴィヴィッドさは特筆ものであるだけに、やりようもあったのではないか、と。たとえば、コラボ商品があるなら、それをまとめて実際にさわれるようなコーナーをつくる、とか。
それでも、作品のヴィヴィッドさ、美しい多彩な色のコントラスト、そして初めて作品を目にしたときのびっくりは、会場に入ってきた5歳くらいの男の子の行動にあらわれている。私が会場をひとまわりして入口近くに戻ったとき、男の子が会場に入ってきてすぐに、文字通り「わぁ」と歓声をあげて、左手側の作品に向かって突進してゆき、スタッフが慌てて走り寄るということがあった。たぶん、近寄って触りたいと思ったのではないか。気持ちはよくわかるけど。
丸亀ではなく、大都市でみるとまた雰囲気が違うのかもしれないと思いつつ、今井俊介さんの次の個展を心待ちにします。そのまえに、きっとこれは巡回するのだろうなと思いますが。