この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION
ドイツ、ケルンのヴァルラフ・リヒャルツ美術館からゴッホの「アルルの跳ね橋」やセザンヌの「洋梨のある静物」などの他、モネ、ゴーギャン、ルノワールら、印象派の巨匠たちの名作67点のコレクションが沖縄に集結します。
<全7章のみどころ>
◆ ポール・セザンヌ
ポール・セザンヌは、20世紀を切り開いた近代絵画の父のひとりです。フランス、マルセイユの北にあるエクス=アン=プロヴァンスは、セザンヌの故郷であり生涯にわたって描き続けた地でした。
パリでカミーユ・ピサロやアルフレッド・ギョーマンといった画家たちとの交流を深め、第1回印象派展に出品します。印象派からセザンヌが受けた影響は多大なものでしたが、次第に印象派の画風とは一線を画すようになり、故郷の地で独自の芸術を追求していきます。セザンヌの3作品をご紹介します。彼が故郷エクス=アン=プロヴァンスの風景に何をみたのでしょうか
◆ 第2章 フォンテーヌブローの森の画家たち
当時のパリではサロン(官展)が絶対的な力を持ち、新古典主義やロマン主義を受け継ぐ、保守的な絵画が主流でした。パリのサロンとは距離を置いた画家たちは、1820年代から自然を求めてパリ郊外のフォンテーヌブローの森にあるバルビゾン村に集うようになりました。彼らは、戸外での制作に取り組みます。戸外の光の元で写実的な油彩画の制作にいそしむ外光派のヨハン・バルトルト・ヨンキントやウージェーヌ・ブーダン。大気や光について取り組んだカミーユ・コロー、シャルル=フランソワ・ドービニーなど多くの画家たち。写実主義の提唱者であるギュスターヴ・クールベもまたこの地を訪れています。フォンテーヌブローの森での試みは、のちの印象派に直接的な影響を与えてゆきます。
◆ 第3章 開かれた色彩の扉 印象派
美しくゆれる水面、光あふれる田園風景。のどかな印象を受けるクロード・モネやオーギュスト・ルノワール印象派の作品ではありますが、彼らの風景画は、単に風景を描くことを目的としたのではありませんでした。印象派の画家たちの絵に収められているのは、色彩によって表現された光や大気であり、それらこそ彼らがまさに描きたかったものだったのです。つまり、目の前にある風景そのものを描くために絵を描いたのではなく、光や大気を描くために風景を描いたといえます。これは、それまでの美術のシステムでは、とても理解しがたいことだったために1874年に開催されたいわゆる第1回印象派展では大変な嘲笑と批難を受けます。
19世紀末のパリは、すでに城壁に囲まれた中世の街並みから、近代都市へと変貌を遂げていました。鉄道網の発達やガス灯の設置など、様々な近代化によって人々の行動がかわり「日常」が変化していきます。それは同時に自然へのまなざしをも変え、画家たちの興味は戸外の光や大気へと向かいました。素早い筆さばきによってセーヌ川やパリ郊外の風景にそれらをとらえます。写真術の発達により、絵画は何かを再現するという役割から解放され、色彩で表現する自由を得たのです。
◆ 第4章 新印象主義
鮮烈な登場を果した印象派でしたが、この頃になるとその代表格であったモネやルノワールは、サロンで大変な人気を博していました。その後も継続的に開催されていた印象派展は、新たな世代の発表の場へと移りかわっていきました。最終回となった1886年の第8回印象派展では、ジョルジュ・スーラやポール・シニャックといった新印象派の画家たちの作品が注目を集めます。彼らの画法は、印象派の画法を受け継ぎながら、当時の科学技術の進歩による光学や色彩理論に基づいていました。短い筆致で色彩豊かに描かれる点描画法によって、新たな光の描写を手にしました。
◆ 第5章 象徴主義--ナビ派
印象派展に出品していたポール・ゴーギャン。彼もまた印象派に影響を受けた一人ですが、次第に距離を置くようになり、ブルターニュの伝統や神秘的な風俗があふれるポン・タヴェン村での制作に励みます。自然よりも観念的な題材を、浮世絵に影響を受けた色面や太い輪郭線で描き、総合主義の中心的存在になります。
そのゴーギャンに学んだエドゥアール・ヴュイヤール、ピエール・ボナール、モーリス・ドニが自然主義や印象派に対する反動としてパリでナビ派を結成しました。「ナビ」とは、ヘブライ語で「預言者」を意味し、新しい芸術の先駆者として1890年代に入ると世紀末芸術の前衛として活躍するようになります。
◆ 第6章 フォーヴィスムへの道
フォーヴィスム(野獣派)もまた印象派の成したことを批判的に乗り越えていった画家たちです。彼らは色彩によって、対象をありのままに再現するのではなく、むしろ感情を表現することに重きをおいていました。色彩は、自由な色づかいや奔放なタッチを特徴とした彼らの作品において、自然や対象を忠実にカンバスにうつしとるためのものではなくなっていました。印象派以来の色彩に対する取り組みはフォーヴィスムによって新たな近代絵画の方向性が指し示されたのです。
本章では、フォーヴィスムを代表する画家たちの過渡期の作品をご紹介します。当時、アンリ・マティスやモーリス・ド・ヴラマンクもまた同時代の画法から多大な影響を受けていたと伺い知ることができる興味深い作品が並びます。
◆ 第7章 周辺へのひろがり、ドイツ印象派
印象派は、同時代のヨーロッパ各国の芸術に多大な影響を与えました。ドイツの印象派を代表するマックス・リーバーマンはオランダやパリで印象派の画家たちとの交流を深めた画家の一人です。帰国後、ドイツ美術界で中心的な立場を取ったリーバーマンは、ロヴィス・コリント、マックス・スレーフォークトらとともにドイツの印象派として独自の道を切り開くのです。
開催概要EVENT DETAILS
会期 |
2016年6月15日(水)~2016年8月14日(日)
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会場 | 沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー) Google Map |
住所 | 沖縄県那覇市おもろまち3-1-1 |
時間 |
9:00~18:00
(最終入場時間 17:30)
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休館日 |
月曜日 ※ただし、月曜日が祝日の場合は開館、翌日休館 |
観覧料 | 一般 1,300円 学生・生徒・児童 900円 未就学児無料
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TEL | 098-941-8200 |
URL | https://okimu.jp/ |
沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)の情報はこちらMUSEUM INFORMATION
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