5.0
後半は泣けてきました
以前奈良で開催の時は行けなかったので、今回楽しみにしていました。
今までに見たことがないようなタッチでした。
作家の体を通して見る空気が面白くて夢中になって観ました。大きな作品も多かったです。
大変な人生だったようで、孤独からくる叫びに胸が苦しくなりました。
泣けてきました。
最晩年には人に囲まれて、お話好きな作者にとって救いもあった事がみれて良かったです。
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不染鉄(ふせん てつ 1891~1976)は、明治24年(1891)東京・小石川で生まれました。父親は浄土宗の僧侶でしたが、やがて絵描きを志すようになり、日本画家の山田敬中や日本美術院に学びます。その後一時は伊豆大島で漁師のような生活を送りますが、大正7年(1918)に京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)へ進学すると、在学中に帝展で初入選を果たし、同校を首席で卒業して以降も、画家として確かな足跡を残しました。
しかし戦後は、奈良・正強高校(現・奈良大学附属高等学校)の校長として請われたのを機に同地に居住し、画壇とは距離を置きながら独自の道を歩みます。郷愁漂う村落風景にはじまり、悠然とたたずむ富士の眺望や神聖な古寺の景観、そして神秘に満ちた海の風景から幻想的な夜の情景へと、遍歴を重ね、深まりを見せるその画境には、過去の想い出とともに、静穏な日々の営みを慈しむ、不染の理想郷的世界が投影されています。
奈良県立美術館ではこれまで、「純情の画家 不染鉄展」(1996年)、「幻の画家 不染鉄」(2017年)と2度にわたり回顧展を開催し、その心に滲み入るような作品は、時代や世代を超え、人々に深い感動を呼び起こしました。開館50周年を記念する本展では、再度の開催を待ち望む皆様からの声を受け、初期から晩年までの代表作を展示し、不染作品の魅力を改めて顕彰しようというものです。
会期 | 2024年1月13日(土)~2024年3月10日(日) |
---|---|
会場 | 奈良県立美術館 Google Map |
住所 | 奈良県奈良市登大路町10-6 |
時間 |
9:00~17:00
(最終入場時間 16:30)
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休館日 |
月曜日、2月13日(火) ※ただし、2月12日(月)、3月4日(月)は開館 |
観覧料 | 一般 1,200円(1,000円) 大・高生 1,000円(800円) 中・小生 800円(600円)
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TEL | 0742-23-3968 |
URL | https://www.pref.nara.jp/11842.htm |
5.0
以前奈良で開催の時は行けなかったので、今回楽しみにしていました。
今までに見たことがないようなタッチでした。
作家の体を通して見る空気が面白くて夢中になって観ました。大きな作品も多かったです。
大変な人生だったようで、孤独からくる叫びに胸が苦しくなりました。
泣けてきました。
最晩年には人に囲まれて、お話好きな作者にとって救いもあった事がみれて良かったです。
不染鉄という変わった名前を知ったのは、一昨年の東京ステーションGでの「鉄道150年展」に出ていた《山海図絵》。
そしてそれが彼の代表作であることも。確かにそれだけのことはある大作だった。
中央上部に富士山が聳え、それを太平洋側か…readmore
3.0
奈良県美では3回目となる不染鉄展です。
最初が1996年。2017年にTSGで開催して奈良県美へ。TSGでも大きな話題となりました。ほとんどの人が知らない画家だったようです。今回は開館50周年の記念展として、奈良所縁の画家としても展覧会を開催することになったのでしょう。しかし残念ながらPR不足?奈良県美だけでは難しいのかしらと思いました。(奈良県美はHPも設備もスタッフも改善の余地ありと思います)
私は2017年たまたま正倉院展の予約時間までと言うことで入った不染鉄展にもう吃驚致しまして、こんな画家が居たなんてと。ちょうどその日は、画家を発掘して「少女たち展」も開催された京都の星野画廊さんの講演会の日でした。本展にも星野画廊さんはたくさんの作品を貸出しておられます。
富士山を描くのに、その向こう側、日本海まで、こちら側は海の中の魚まで描いてしまう。波やポコポコとした山の描き方に本展で南画ぽいと感じたのでしたが。
やはり、担当学芸員さんの解説会とかに参加すれば良かったなぁと思いました。
心の内には孤独?寂しさがあり、それが画面を埋め尽くし、そして言葉が迸り画面にも小さな字でツラルラと綴ってしまう。
校長を辞して奈良の粗末な家に棲まい、奈良の工芸とコラボの作品を発表したり、迸る思いを絵手紙にして送ったり。
思い出は若い頃の大島での日々にあり(決して容易い日々ではなかったであろうに)、若き日への郷愁を抱えながら、古都奈良で晩年を過ごす。これまでの思いを詰め込んだ晩年の作品は沁みました。
奈良では不染鉄は身近な画家であったのでしょう。奈良以外で彼の展覧会が開かれることはちょっとないかもしれません。
不染鉄をまだご存じない方に知ってほしい唯一無二の画家です。
5.0
不染鉄のことを全く知らないまま、ポスターに使われていた美しい富士山の絵に惹かれて訪れました。奈良出身の方ではありませんが、奈良にゆかりのある方で、物悲しくも美しい西ノ京を描いた絵は必見です。
緻密な絵柄は現実と空想が入り混じった世界をよりリアルに表現しており、眺めているだけでその空間に魅入られのめり込んでしまいそうになります。
特に気に入ったのは「海」という作品で、一見すると暗い雰囲気の絵なのですが、よくよく眺めると夜の民家の灯火は明るく、また海中にはさまざまな生き物が描かれており、陸海それぞれの暮らしの鮮やかさを感じることができました。
私が最初に不染鉄の名を知ったのは、6年前の『美の巨人たち』。今回のキービジュアルである『山海絵図(伊豆の追憶)』が『今日の一枚』。しかし印象的だったのがこの回で合わせて紹介された『廃船』。
暗く重い雰囲気の中、圧倒的な存在…readmore
5.0
はじめて不染鉄の作品を見たのが、一昨年の東京ステーションギャラリーでの「鉄道と美術の150年」展の「山海図絵≪伊豆の追憶≫」でした。その時は鉄道がメインでしたが、海の中の魚たち、漁をする人の営みなど、細密描写がすごすぎて、この時単眼鏡を買おうと決意しました。今回はじっくり単眼鏡で
海鳥の姿、くじらの潮吹き、汽車に乗る人々などなど隅々まで楽しむことができました。そして、田舎の原風景に黄金に輝くイチョウの木、大海原に泳ぐ2匹の魚(夫婦かな?)、壊れた自転車に心寄せるやさしさの塊、不染鉄という人物の精神性そのものを表わす絵画の数々、見応えがありました。
5.0
6~7年前に東京駅で見てから、ずっと心に残っていて今回、絶対に行こうと一泊旅行で計画しました。平日でしたのでユックリ見ることができ、至福の時間を過ごせました。
全体はイカツイ感じですが、よく見ると丸みがあり優しくモクモクとした岩の間に人の営みが見られる等、前回と又違った印象を受けました。
丸い茅葺屋根がとても可愛くとても癒やされました。
5.0
特別展 漂泊の画家 不染鉄 ~理想郷を求めて
ある朝の新聞記事に釘付けになった。
不染鉄という作家の展覧会の紹介記事。
粗い新聞記事の写真からも伝わってくる
不穏な空気を蓄えたその写真から目が離せなくなった。闇の中に蠢く一匹の虫が放つ蠱惑的な力。(後に虫では無かったと気づく)
すでに会期も終了間近で2017年のその展示
に足を運ぶことは無かった。
時折、思い出す事はあったが深く調べる
事もなくその世界に触れる事は諦めていた。
………
気がつけばコロナ禍を経てあの記事を思い返す事もなく6年経っていた。
ふたたび奈良県立美術館に帰ってきた。
漸く不染鉄の世界に浸ることができる日が
やって来た。
さっそく会期2日目に展示会場へ向かう。
代表作の《山海図絵》を前にすると圧倒的な
存在感に惹き込まれる。
富士山を中心としたスケールの大きな作品で
あるが列車や集落の様子や里山の木々に加え
海の底の魚影まで細やかに描き込まている。
(富士山の奥に広がる風景は能登半島や日本海とのこと)
《廃船》の重苦しい絵画の存在感も良いが
《仙人掌》《塀》などの鮮やかなパステルグリーン(薄緑色)や《銀杏》の黄色などの立体的な色彩にも感銘を受ける。
この鑑賞記を綴りながら新聞記事の写真が
《南海之図》であることを思い出したため
再訪の際に改めて確認してみたい。
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