特別展「野田弘志 真理のリアリズム」
奈良県立美術館|奈良県
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リアリズムとは何かを知る (後期展鑑賞後にさらに追記)
リアリズム作品には非常に興味があって、野田氏の作品もその一つになる。
これまでにも野田弘志展は様々な形で企画展が開催されており、その度にできる限り実物の作品を目にしてきた。画集も数冊所有し精読している身からすれば、野田氏の作品のことなど、すっかり分かった気になっていたことが恥ずかしい。
作品を目の前にすれば、改めて圧倒的な迫力と精神的な深みがあることを再認識させられるからだ。
絵の中の人や物は、手を伸ばせばつかみ取れるのではないかと錯覚するほど、強烈な存在感を放ちながらも、ただただ静かに佇んでいる。
その中でも鳥の巣を描いた作品「聖なるもの THE-Ⅳ」の存在感は圧倒的だった。
(映画「魂のリアリズム」では、その制作過程が公開されており必見です)
それらのモチーフを支えているのは、野田氏特有の空間だ。
大きく「黒」・「白」・「金」の三つに分けられる背景だが、個人的には少し湿り気の感じられる白い空間に魅かれてしまう。
いずれの背景にせよ、野田弘志作品の最大の魅力はこの空間にあると思う。
これは実物の作品を見ることでしか感じ取ることができないので、ぜひ美術館に足を運んでいただきたい。
内容、展示数ともに圧巻の同展だが、ただ一つ展示に関しての不満があった。
ウィンドウ内に展示された人物画「崇高なるもの」のシリーズ は、人物の足もとに入る光線により画面が見づらいと感じたので、改善されると良いのだが…。
後期展も期待している。
11月4日追記事項。
後日、後期展も鑑賞。
見づらかったウィンドウ内の展示も、ライティングを調整したのか大変見やすくなっており、同じ作品でも空間の広がりは全く別次元に感じられた。
作品の入れ替えについては、挿絵以外にどの作品が入れ替わったのか、正直に言って気が付かなかった。
しかし、繰り返し同じ作品を見ることで発見できたこともあり、全く不満は残っていない。
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- morinousagisanさん