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西宮で観る至高の美術 和泉市久保惣記念美術館展

西宮で観る至高の美術 和泉市久保惣記念美術館展

西宮市大谷記念美術館|兵庫県

開催期間:

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駆け引きの結末

西宮市大谷記念美術館と和泉市久保惣記念美術館との交換展、先に開催されたのは大谷。
7月猛暑の中を阪神香櫨園駅から徒歩で向かった。10分程度の距離だが、日陰がないのでヘロヘロになった。入館して一息ついてやれやれだ。

2階の会場から見て回る。
最初は青銅器。久保惣では新館入ってすぐの部屋に並んでたやつだ。青銅器はなぜか大富豪が好きだね。住友しかり、根津しかり。市場によく出回ってるのか、お求めやすい価格なのか、収集してるうちに山のような数になっちゃったなんてのは想像に難くない。
ただ、素人が見て面白いもんじゃないのは確か。理由はいろいろあるが、品名の漢字の難しさと、それが意味するものがチンプンカンプンなとこがまず挙げられる。
その点、当展ではふりがながちゃんとあるし、解説も懇切丁寧なので素人にもよくわかる。
いろんな用途の器や装飾品、鏡類が出展されてはいるが、私はすぐ飽きた。特に帯鉤(たいこう)ってやつ。帯留め金具だそうだが、出展数の多さには辟易した。
この青銅器部屋、プロローグの展示としては退屈だしクドイ。量は4分の1ぐらいでよかったのでは。ハンディライトが置いてあり、文様をじっくり見てくださいとあったがそこまでして見たいとは思わなかった。

次の部屋が中国画と江戸期の日本画。
中国画は山水図がほとんどで、特に可もなく不可もなく量的にも適正。
一方で少なすぎなのが日本画だ。作者不明の屏風が数点と、あとは応挙の写生画14枚一式と若冲の拓版巻物《乗興舟》。
応挙作品はガラスケース内に前後2列で平置きなので、後列が見にくいったらありゃしない。展示センスなし。
若冲の《乗興舟》は、制作の背景、技法、その他モロモロ含めて珍品の誉れ高い版画巻物。当展の目玉はこれだ。ところが、わずか1mちょっとしか開陳されていない。他の部分は複製縮小版で全巻分を披露していた。全部とは言わないが、もう少し広げて見せられなかったのか。スペースは有り余ってるのに。これも残念な展示。

1階展示室は浮世絵。
ちょうど同時期に久保惣美術館ではコレクション浮世絵の大展覧会をやってるので、果たしてどれだけ来てるかが心配だったが、まずまずの内容。
特に北斎の《春興五十三駄之内》が全点出てたのが良かった。師宣も広重も国芳も写楽もあって、大きな不満がなかったのはこの部屋だけだった。

That's all.
全体的な感想は、展示作品のジャンルと数量に著しい偏りがあることに尽きる。さらに、同じジャンルの中でも偏りがありすぎ。青銅器では前述した過剰な帯鉤、日本画では軸も額も一切ないこと。
選んだ大谷側のバランス感覚っていったいどうなってんのと言いたい。
あるいは久保惣側の出し渋りでこうなった?
久保惣コレクションって、こんなもんじゃないでしょ。
やきものは? 工芸品は? 書は?
数年前に渋谷の松濤美術館であった久保惣展には国宝も重文も貸し出してたじゃない。交換展だから、大谷側から借りる作品に見合ったものにしたということ?
もしそうなら、秋に久保惣である大谷展に出てくる作品も推して知るべしだ。
大谷vs久保惣のキュレーターバトル、大谷が下手に出たのか、したたかな久保惣にしてやられたか。
キュレーターって、ネゴシエーターの技量も必要だとつくづく思った。

こういう交換展は、両者がWIN-WINになるのがあるべき姿。
このままだと、大谷がLOSE確定、久保惣はWINかLOSEかまだわからないが、LOSE-LOSEとならないよう、せめて大谷側からは誠意と良心に満ちた作品が行くことを期待しましょう。

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morinousagisanさん

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