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沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」

沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」

九州国立博物館|福岡県

開催期間:

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「特別展琉球」 -紅型に夢見るトロピカルカラーな美(ちゅ)らの海-

気圧と天候の乱高下激しい猛暑の日、【特別展琉球】を鑑賞しました。

めんそーれな沖縄=琉球【りゅうきゅう】王国。
思い浮かぶのは青い海とシーサー(獅子)、ハブ?皮のサンシン(三味線)、世界遺産であり沖縄の象徴、首里城(大火で全焼する光景の中継はショックで呆然と眺めることしかできませんでした(涙))等々。
なんといっても楽園イメージの似合う南の島。。。そして銘菓ちんすこう(笑)。
沖縄に帰省する同僚に毎回もらっていたので私の沖縄イメージはちんすこうが割高です(⌒⌒)。ほのかな塩分が今も無性に食べたくなったりして、ハイカロリーには目を逸らしています。おいしいので。。後で運動してますのでセーフかと。多分。きっと。

琉球は明治政府の廃藩置県で鹿児島県の傘下に組み込まれるまでれっきとした独立国で海洋貿易国家。
【琉球】と命名したのは当時の中国で、琉球は中国の支配体制である冊封を受け入れその傘下に入っていました。
656年の歴史書『隋書』の中に「琉求」という名前が初出典。「琉」という字は、宝石や石を表す「王」に、水が流れる様を表した「㐬」をあわせることで「美しい玉」を表しているそうです。
例えば「琉璃」は紺青色の宝石でラピスラズリを指しますし、碧い海に囲まれた宝石のような南の島・・・ぴったりなイメージ。
当時の皇帝陛下か官僚か知りませんが命名者のネーミングセンスは抜きん出てると思います。。

今回そんな海の王国【琉球】という独自文化にまつわる作品を独断でピックします。

①黄色地鳳凰霞文様紅型紋紗衣装
18〜19世紀
撮影可能コーナーで一際鮮やかに眼を引くイエロー。本当に鮮烈な黄色です。これ天然の顔料なんですよね、人工的な素材ではないのに発色が凄い。
紅型(びんがた)は琉球=沖縄を代表する伝統的な染色技法の一つで、14世紀の裂が最古に現存の為、起源は13世紀頃と推定されています。 「紅」びんは赤色じゃなくて、色全般のこと。
「型」は様々な模様を指しているそうですが、色鮮やかで今も着物の柄で人気ですし、私も紅型じゃなくて藍型イーガタ(地色が藍色のもの)なら欲しいなーなんて願望がありました。価格ハードル高いのでハンカチにしましたけど。。。
目に眩しい黄色の地色は、当時の王侯貴族しか着用できず、伝説の瑞鳥、鳳凰紋からも身分階級が察せられます。
また中国の思想で黄色は東西南北の中心である中央を表す色です。王族という国の中心を表す色である事と、文様からも中国の影響の大きさをチラチラ感じます。

②刀【国宝】金装宝剣拵きんそうほうけんこしらえ(号ごう 千代金丸ちよがねまる)
[刀身]室町時代・拵]第二尚氏時代・共に16世紀頃
儀式用の刀で、拵が金✨、眩い!観覧者写真大人気の人だかりです。
キラキラな金の柄は短くて、金具の装飾はシンプルで、鞘と刀身を分ける時に使う笄(こうがい)が見当たりません。
儀式用としての用途と琉球独自の嗜好が見えます。
刀身も細いので、やや華奢な印象です。①の衣装もずいぶん袖が短かったのでこれを使った琉球の人々も小柄な方が多かったと思われます。

③呉須絵擬宝珠丁字風炉ごすえぎほうじゅちょうじふろ 19世紀
撮影不可でしたが個人的には展示品の中でピカイチな品。現代も使われる生活道具です。
上の窯(ポット)に乾燥させた丁子(クローブ)と水を入れ、灰を入れた下の炉で炭を焚き、室内に芳香や防虫効果をもたせるのに使われる道具で、
風炉と言っても茶道具とは別物。全国に広がったそうですが、今でも使っている家庭があるのは沖縄だけで、お土産に偶に見かける品です。
シンプルな呉須絵の素朴な道具ですが、室内に香るクローブと、サンシンの音を併せて想像するとどこかエキゾチックで素敵ですね。
カレースパイスになるクローブは沖縄原産ではないので、海洋交易がもたらした琉球文化の証左といえます。

他にも交易国を示す展示品として驚いたのは古代ローマ帝国のコイン。地球の裏側、今のイタリアである古代ローマの通貨が実際の取引で使用され、グローバルな商業の道にワクワクです。
商品の対価としてこんな遠くの通貨が実際に取引で使用されているなんてびっくりですね。為替とか両替とか取引基準どうなってたんだろうとコインを眺めながら気になって仕方ありません。展示には交易のあった中国、台湾、東南アジア等の地図もあって、そこから更に西へと交易は続いていたのだなと感慨深いです。脳裏には珊瑚の見えるトロピカルな碧海を往来する帆船を思い描いてしまいます。

展示の後半には、琉球(沖縄)独自に受け継がれる習俗にも焦点が当てられ、今も行われている祭祀の映像には目を見張ります。
琉球から沖縄になって、あれだけの戦争災禍に見舞われても絶えることなく続いた独自の習俗、文化の営みには力強さが。
日本最南端の地域という枠では括れない、美しい海の王国文化を感じさせる琉球展、お勧めです。

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