ボストン美術館共同企画 特別展「南都仏画―よみがえる奈良天平の美―」
開催期間: ~
クリップ数:38件感想評価:8件
- VIEW433
- THANKS1
南都聖展
南都って呼び方は初めて聞いたなあ。奈良の異名だとのこと。まさか「なんときれいな平城京」から来てる? ってことはないか(笑)
京都は北都とも言うかつーと言わないから、奈良推しのかたが言い始めたに違いない。知らんけど。
真夏の盆地美術展シリーズは京都から奈良へ。近鉄奈良線に乗ってやってまいりました7月24日。この日も酷暑で体温超えの気温だったかと。
近鉄奈良駅から歩いて奈良博へ向かう途中には、ミストシャワーが2、3か所にあって浴びまくり。これがほんとの「南都の直冷」ってか(笑)
興福寺の横まで来ると日陰もあるけど鹿の大群が占拠。外人観光客も同じ数いるので大混雑だ。
それをスイスイと除けながら奈良博到着。開館して間もない時間帯だが客はそこそこ多い。奈良博渾身の夏の特別展は「南都仏画」だ。
同じ時期に東博では「空海と真言宗」が堂々公開中で、国立博物館の面子をかけた大決戦であります。
そしてこの二展は、奈良が朝日、東京が読売の二大新聞社の激突でもあります。
会場に入っていきなり目を引くのは、法隆寺金堂壁画の実物大再現だ。日本の仏画の最高傑作は悲しいかな焼失してしまったのだが、写真撮影したガラス原版が残ってて、そこから作成したレプリカの迫力は凄い。こんなに巨大な壁画だとは思わなかった。
そして戦前に著名な日本画家が模写したものも展示。初めて目にしたわけだが、模写技術にたけた日本人なので、もはやこれを国宝にしてもよいのでは?
当展は「南都」と銘打ってあるから、奈良時代の作品ばかりかというと全然そうではなくて、平安、鎌倉、室町と各時代の奈良ゆかりの絵画、書、彫刻、工芸の数々が出展されてます。
保存状態からいくと、後の時代になるほど良好なのは当然で、会場後半に集約された鎌倉・室町期の仏画は退色がほとんどなくて実に美しい。
逆に奈良・平安期の仏画となると、その元の状態を想像するのが難しかったりするのが結構あったりします。
そんな中、奈良時代の作品で奇跡的に美しい一点の絵に出会えました。それは薬師寺の国宝《吉祥天像》であります。
この作品は厨子の中の絵で、おそらく常日頃は厨子の戸が閉まった状態で保管されており、外光、外気が遮断されるため、これほどまでの美しさを保持してこられたのでしょう。
厨子は大きくなく、中にいらっしゃる吉祥天も50✕30cm程度のコンパクトな絵ですが、とにかく色が良い。天女の美しさは1200年の時を経てもまったく色褪せてはいません。
私の好みの国宝は、毎度AAに書いてる通り、「切手になってるか否か」が重要ポイントです(笑) この吉祥天も当然切手になってて、しかも1968年発行の第1次シリーズの中の一つです。これまで一度も本物を見たことなかったので、会えて本当に良かった。薬師寺さんにも感謝です。
この展覧会では厨子の中の作品が一つの注目点でもあって、吉祥天以外にもいろんな仏画、仏像がきわめて美麗な状態で拝めます。開帳されない秘仏は厨子の中にいること多いけど、やっぱりもったいぶるだけのことはあると、つくづく思いました。
平安時代の仏画では、昨年も奈良博で見た子嶋寺の曼荼羅が出色ですね。おなじみ《信貴山縁起絵巻》もまた来てくれました。今回は尼公の巻でした。朝護孫子寺さんのご協力にはいつも感謝です。
ちょっと面白かったのは、内山永久寺なる今は廃寺となった寺の紹介とその寺宝です。
平安時代に創建され、権勢を誇った巨大寺院だったそう。廃仏毀釈で消え去って跡地には今は何もない。散逸した寺宝は国内外にあって、今回はそのうち目ぼしいものが出展されてます。
国宝二点は私の行った時期には出ておらず、8月25日から二点同時公開です。それでも仏像の名品たちは素晴らしかったです。
内山永久寺もそうですが、会場後半は鎌倉期の仏像中心となり、仏画の影は薄くなります。曼荼羅や涅槃図などには注目すべきものはあるにせよ、鎌倉仏像出されたら絵の出る幕ないですね(笑)
まあ、私の場合は薬師寺吉祥天像だけで来た甲斐あったもんですから、あとは全部がオマケかもしれません。
吉祥天つながりでもう一つ。最終章に浄瑠璃寺の吉祥天像の厨子絵模写が出てました。
浄瑠璃寺は京都の奈良県境あたりにある山奥の寺で、十数年前に一度行ったことあります。本堂、三重塔を始めとして国宝・重文多数の寺で、目玉は九体の阿弥陀如来像です。そこの厨子絵は訪問時には見ていないので、これも貴重な鑑賞となりました。
寺社系展覧会のお楽しみは、行ったことあるお寺の追体験にもあると思います。「この仏像、見たとき感激したなあ」という思い出が甦ると嬉しいもんです。はたまた、「ここまだ行ってない。いつか行くぞ」との思いを新たにする場でもあります。
南都仏画展も、そんな旅への憧れをかきたててくれるはずです。寺宝は会えることも会えないこともありますが、それもまた寺社参拝のお楽しみです。
- THANKS!をクリックしたユーザー
- pink11catさん