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特別展「舟と人類―アジア・オセアニアの海の暮らし」

特別展「舟と人類―アジア・オセアニアの海の暮らし」

国立民族学博物館|大阪府

開催期間:

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先人たちの叡智と、私たちのこれから

国立民族学博物館(通称・みんぱく)の特別展は会場が広く、多岐にわたる収蔵品から厳選された展示品が並ぶ。加えて映像資料もたくさんあって、会場で見切れない分は常設展示のビデオテークコーナーで見られるようになっている。この博物館は、1日過ごしても時間が足りないことが多く、毎回見るべきテーマを決めておかないとあっという間に閉館時間になってしまう。
 さて、テーマとなっている舟と人類。海上の道は舟無しでは進めなかった。身近で手に入る素材を使って、持てる技術を駆使して作り上げた舟。そして新天地を目指すフロンティア精神。強靭な身体能力と人生の経験値。送り出す人々の集団としての団結力。全てが揃っていても、悪天候や潮の流れによって前途は多難になる。特別展示では、途方もない困難を覚悟で敢えて挑戦してきた人々の足跡と彼らの叡智を知ることができた。
 初っ端から沖縄海洋博覧会の会場へ南洋から6人乗りのアウトリガーカヌーで辿り着く映像に心を鷲掴みにされる。台湾から沖縄の与那国島までどんな舟なら辿り着けるかを実際に試した映像にも胸が熱くなった。海上では、各地での舟作りの様子の映像が多く収められている。昔ながらのやり方で作っているところを見ると、100均で調達できるものでその場を凌ごうとしている自身の足元を掬われた気持ちになった。(縄文大工の雨宮氏のワークショップも会期中に開催されていたようである。)
 人類が何万年何千年もかけて積み重ねてきた技術を、私たちはみすみす手放そうとしている。もちろん適材適所というものがある。医療や福祉など必要な最先端技術もあるが、全体の均衡を忘れてはいけない。みんぱくに来ると、難しいことは忘れて、いつも根源的な生き方について考えさせられる。それはおそらく研究者の魂(スピリット)が、展示や解説に反映されているからなのだろう。研究というものは、私たちが末長く生き延びるためのものだからである。

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