堅山南風《大震災実写図巻》と 近代の画家 大観・玉堂・青邨・蓬春
開催期間: ~
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鯉など花鳥画の「堅山南風」優しい筆致で辛い記憶を克明に。
4.0
今年は関東大震災から100年の節目の年になります。大正12年(1923年)9月1日に起きた関東大震災は、死者・行方不明者が10万人以上にのぼり、大きな被害をもたらしました。人命や家屋などの被害は勿論なのですが、東京や近郊では貴重な文化財や美術品の多くが消失、また画家たちもその作品がアトリエごと焼失、当時の美術界も大きな影響を受けました。そんな中、震災の惨状を描いた画家も現れました。横山大観の弟子で、花鳥画を、特に「鯉」を得意とした、堅山南風(1887~1980年)は《大震災実写図巻》を31枚の絵、3巻に仕立てました。今回の特別展示されているのは、この《大震災実写図巻》です。画家の観察眼が際立つ記録画です。「上巻」では、地面が裂け、列車は横転し、浅草十二階凌雲閣の倒壊、傷つき逃げ惑う人々など、大地震発生直後の大惨状が、ごくごく優しい筆致で克明に生々しく描かれているので、余計に悲しくなって来ます。「中巻」「下巻」では避難生活の混乱とそして復興に向かう様子。上野の西郷さん像には縁故者を探す貼り紙がぎっしり貼られ、被災者間の争いや、焼け野原のなかで棺を担ぐ人々などの悲哀に満ちた場面も描かれ、それでも終盤には食料の販売が始まり、店舗や家屋が建てられていく復興の様子が描かれていました。そして最後に南風は、沢山の卒塔婆とともに「慈眼視衆生福聚海無量是故応頂礼」と観音経の一節を記し、観音菩薩の姿を描いていました。この作品の序文で「かかる非常の時に吾等を慰め且つ精神上の苦痛より救玉ふは大慈悲の観世音菩薩である」と述べた南風。ここに至って彼がこの作品を描いた思いも、じんわりと伝わって来ました。
《大震災実写図巻》とあわせて、南風と同時代の画家による作品12点が公開されます。会期前半9月10日までは、日本の風景を題材とした、横山大観、川合玉堂、棟方志功、山田申吾の作品でした。なかなかに観ごたえありました。9月13日以降の会期後半は、竹内栖鳳、鏑木清方、小杉放菴、前田青邨、山口蓬春による人物や動植物の絵画が紹介されるそうです。この特別展示は11月5日までです。
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