佐藤雅晴 尾行-存在の不在/不在の存在
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物悲しいインスタレーション。一点一点、時間をかけ制作した彼はあまりにも人生を急ぎ過ぎた。
5.0
つくづく、やっぱり佐藤雅晴はいい‼という思いがつのりました。
特に《東京尾行》。ドビュッシー《月の光》のピアノの無人自動演奏がBGMになっていることもあるのだと思いますが、こんなにも切ないインスタレーションがあるのかと。佐藤雅晴の作品には初期から、物悲しい通奏低音がただよっています。2019年3月に45歳で早世されているのですが、この寂寥感はどうしてもそのことと結びついてしまいます。
佐藤雅晴の作品を初めて意識的に見たのは(原美術館の2016年の《東京尾行》は見逃していたので)遅まきながら2020年1月の国立新美術館の《福島尾行》でした。福島の風景の実写映像のごく一部分だけをトレースでアニメーション化した作品です。同時に、初期作《I touch Dream#1》にも深い感慨を持ちました(今回、この作品はウイリアム・ケントリッジのドローイングアニメの作品(これも好きです)に影響を受けたことも知り納得しました)。
今回は、彼の回顧展になっており、両作品を含む代表作のほとんどが一挙に見られました。そのなかで細かなレトリックにも気づきました。《バインド・ドライブ》は、悪魔の男と天使の女のドライブなのですが、天使は妊娠しており(これから心中するのではと思わせます)、車のラジカセがリピートに表示されています。《カップル》は喫茶店の男女ですがガラスに映ったふたりの位置が入れ替わっています。《雪やコーヒー》は雪と角砂糖の白から黒への変化がシンクロしています。
デジタル写真を丁寧にレタッチしたフォトデジタルペインティングの技法による作品群は以前から図版では見た記憶がありますが、実物は今回が初見でした。これらも動画やアニメーションの作品同様、作家 佐藤雅晴がコツコツと膨大な時間をかけ、丁寧に制作したであろうことが容易に想像できるものでした。一点一点ゆっくりと時間をかけ制作した彼は、人生をあまりに急ぎ過ぎたと思えてならなりません。
2021年7月に六本木の蔦屋書店で展示されていた「Hands」シリーズや、ヨコハマトリエンナーレ2020に出品された最晩年の「死神先生」シリーズもありました。
水戸は東京からは少し遠いですが、来た甲斐がありました。カタログも買いました。撮影可なのもとてもうれしいです。
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- K10526さん
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- BY 堀間律人@forimalist