東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展
開催期間: ~
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「クリスティーナの世界」の世界感が溢れます
4.0
ワイエスというと《クリスティーナの世界》。
大好きな絵です。実は、ワイエスはそれしか観たことないのですが、MoMA NYで実物を見たときには、感激で立ち尽くしました。なので、このワイエス展は大注目で、心待ちにしてました。
長い画歴で、ワイエスの画風は一貫。
90歳過ぎの長寿、戦前から20世紀末にかけての実に長い制作期間を通じて、画風に大きな変遷が無いのに驚かされます。これは、ひょっとして本展覧会の作品の傾向であり、別の画風スタイルのシリーズがあるのかもしれないのですが。
テンペラと水彩による超写実表現。
水彩絵具では、水分を絞って描くドライブラッシュ画もあり。水彩絵具でこんなリアリズムが表現できるのかと、感銘します。岩石、木材、布地の質感が、真に巧み。
スティル写真のイメージ。
全般に、彩度乏しく、明暗コントラストが強い表現。暗部は黒く沈む。動きはなく、止まっている。情感は乏しいが、画面に画家の視線を感じさせる、構図の妙。大きくも小さくもないサイズ。これ、何だか、銀塩白黒の写真作品の表現に通じるように感じます。スーパーリアリズムが写真のようだ、という意味ではなく。
素描を含む約百点、その過半が国内所蔵品。
特に、丸沼芸術の森の所蔵品が大量に。丸沼は238点に及ぶワイエスコレクションを有するとのこと。丸沼の存在を初めて知りました。
「クリスティーナの世界」はMoMAから門外不出だそうで、本展には不在乍ら、その「世界」感は、本展の多数のオルソンハウス・シリーズで十分堪能できました。この世界感、そしてワイエス作品に、あらためて好きが深まります。
印象深い作品が多数のなか。
-《オルソン家の終焉》:完成作はクリーブランド美術館蔵ですが、その習作4点が丸沼から。近景にオルソン家の屋根とレンガ積煙突、遠景に海が配置される構図の画。画面中央に描かれる煙突は、先端のレンガの幾つかが崩れている。終わりの始まり。まさに終焉だ。
-《ヒトデ》:本展の最後の展示作品、70歳頃の作。窓の外にて双眼鏡で海を見る妻ベッティを、窓越しに後姿で描いた画。展示の最後に、やさしさ・愛情・生命感の情感豊かな異質の作品でほっこりして、会場を後にしました。
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