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FEATURE

人気ギャラリーとオークションハウスから始まる
ロサンゼルスのアート巡り

アートフェアから始まる、都市とアートの旅へ|フリーズ・ロサンゼルス【後編 Vol.01】

アートフェア

ペースギャラリーの中庭。緑に覆われた壁面と鮮やかなブーゲンビリアに囲まれたロサンゼルスならではの開放的な空間。2026年2月から6月にかけてアーリーン・シェケットの屋外彫刻作品《Big Sister》2025年(写真中央)が公開されている。編集部撮影
ペースギャラリーの中庭。緑に覆われた壁面と鮮やかなブーゲンビリアに囲まれたロサンゼルスならではの開放的な空間。
2026年2月から6月にかけてアーリーン・シェケットの屋外彫刻作品《Big Sister》2025年(写真中央)が公開されている。編集部撮影

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構成・文 藤野淑恵

サンタモニカ空港から始まるLAのアートウィーク、フリーズ・ロサンゼルス(FRIEZE LA)
アートフェアから始まる、都市とアートの旅へ|フリーズ・ロサンゼルス【前編】はこちら

ロサンゼルス国際空港に早朝到着し、サンタモニカの宿に荷物を預ける。カフェでひと息ついたら早速最初の目的地へ。今回移動に使ったのは配車サービスアプリの Lyft。日本では馴染みが薄いがロサンゼルスでは日常的な存在で、体感としてはUberよりも車が多いのか、待ち時間が短く使いやすい。LA初日は個展のレセプションを軸に、ペースからペロタンへ、さらにビバリーヒルズへ移動してガゴシアン、サザビーズ、クリスティーズへ。夜はハウザー&ワースでのトークイベントも控えている。街に点在するアートスポットをドライブで巡る。それがLAのスタイルだ。

光と緑に包まれる、開放的なギャラリー体験
ペース・ギャラリー|Pace Gallery Los Angeles

ペースギャラリーのレセプションの様子。緑に覆われた中庭に人々が集い語らう。 編集部撮影
ペースギャラリーのレセプションの様子。緑に覆われた中庭に人々が集い語らう。 編集部撮影

最初に訪れたのは、日本の麻布台ヒルズにも拠点を持つ現代アートの最前線を扱うトップギャラリー、「ペース・ギャラリー(Pace Gallery)」。ハリウッドとビバリーヒルズの中間、サウス・ラ・ブレア・アベニューに位置する。このエリアは、近年ギャラリーやデザインショップが集まるロサンゼルスの新たなアートスポットだ。ジェームズ・タレルが設計に関わった空間は、光を取り込むように開かれている。自然光がやわらかく差し込む中庭(コートヤード)を中心に、屋内と屋外がゆるやかにつながり、ギャラリー全体がひとつのインスタレーションのように感じられる。

ローレン・クインの個展「Eyelets of Alkaline」の展示風景。 編集部撮影
ローレン・クインの個展「Eyelets of Alkaline」の展示風景。 編集部撮影

ペース・ギャラリーの本拠地であるニューヨーク・チェルシーでは、スケールの大きなホワイトキューブの室内空間で作品を見せるのに対し、ロサンゼルスでは光や空気に誘われながら作品を体験する。外へと開かれたこの空間には、街の空気や時間の流れまでもが自然と入り込んでくる。

ローレン・クインの初個展「Eyelets of Alkaline」の展示作品。《 Grizelj 》2025 © Lauren Quin, courtesy Pace Gallery
ローレン・クインの初個展「Eyelets of Alkaline」の展示作品。《 Grizelj 》2025 © Lauren Quin, courtesy Pace Gallery

この場所で開催されていたのが、2025年に所属したローレン・クインの同ギャラリー初個展「Eyelets of Alkaline」にあわせたウォークスルーとレセプション。ウォークスルーとは、展覧会のオープニングにあわせて開催されることの多いイベントで、展示のキュレーションを担当したディレクターがギャラリーを案内しながら作品やアーティストについて解説するもの。絵画を「探求のプロセス」として捉えるクインの作品には、鮮やかな色彩のフォルムが幾層にも重なり合うことで生まれる独特の緊張感がある。抽象の枠組みを揺さぶりながら、言語や記号の可変性へと視線を導くその画面は、開放的な空間の中でいっそう際立っていた。

ペースギャラリーの中庭に展示された、アーリーン・シェケットの屋外彫刻作品《Big Sister》2025年
作品の展示は2026年6月6日まで。 Photography courtesy Pace Gallery
ペースギャラリーの中庭に展示された、アーリーン・シェケットの屋外彫刻作品《Big Sister》2025年
作品の展示は2026年6月6日まで。 Photography courtesy Pace Gallery
施設情報|アメリカ・ロサンゼルス
Pace Gallery Los Angeles(ペース・ギャラリー)
住所:1201 South La Brea Avenue, Los Angeles, CA 90019, USA
https://www.pacegallery.com/galleries/los-angeles/

歴史的シアターに息づく、現代アートの空間
ペロタン|Perrotin Los Angeles

ハリウッドの歴史的なシアター建築を活かしたペロタン・ロサンゼルスの外観。編集部撮影
ハリウッドの歴史的なシアター建築を活かしたペロタン・ロサンゼルスの外観。編集部撮影

続いて訪れたのは、フランスを本拠地に世界各国、日本(東京・六本木)にも拠点を持つ「ペロタン(Perrotin)」。ロサンゼルスの拠点は、ロサンゼルスのほぼ中央に位置する住宅・商業エリアMid-City地区にある。1930年代に建てられた「デル・マー・シアター」を改装した建物で、かつて映画館やコメディクラブとして使われていた場所だ。ネオンサインやマーキー(看板)、チケットブースといった劇場の名残がそのまま残され、往年のハリウッドの空気と現代アートが自然に交差する。高い天井を活かした開放的な空間も印象的で、どこかストリートの気配を感じさせる外観とともに、この街らしい自由さが漂う。

村上隆の個展「Hark Back to Ukiyo-e: Tracing Superflat to Japonisme's Genesis」の展示風景。編集部撮影
村上隆の個展「Hark Back to Ukiyo-e: Tracing Superflat to Japonisme's Genesis」の展示風景。編集部撮影

開催されていたのは、村上隆による個展「Hark Back to Ukiyo-e: Tracing Superflat to Japonisme's Genesis(浮世絵を振り返る:スーパーフラットからジャポニスムの起源を辿る)」。村上がモネの庭で知られるジヴェルニーを訪れた体験を起点に、浮世絵が印象派に与えた影響、そしてそれが自身の理論へとどう接続されるのかを探る。展示は24点の新作で構成され、喜多川歌麿や鳥居清長による美人画をもとにした大画面の作品が並ぶ。女性たちのしなやかな仕草やうなじの描写といった浮世絵特有の視覚表現に向き合いながら、その構図や官能性がいかに西洋絵画へと引き継がれていったのかを丁寧にひもといていく。

村上隆の個展開催中のペロタン ロサンゼルスのペロタン・ストアエントランス。 編集部撮影
村上隆の個展開催中のペロタン ロサンゼルスのペロタン・ストアエントランス。 編集部撮影

さらに後半では、モネの《日傘を持つ女》を参照したシリーズが展開される。浮世絵と印象派という異なる系譜を行き来しながら、視覚表現がどのように変容し、受け継がれてきたのかを可視化する構成だ。シルクスクリーンと絵具を重ねた独自の技法による画面と圧倒的なサイズ感で、過去のイメージをなぞるのではなく、現在の視点からのイメージが新たに立ち上がる。ギャラリーに隣接するペロタン・ストアは、村上作品のお馴染みのキャラクターで彩られ、同展の限定グッズやエディション作品が販売されていた。

施設情報|アメリカ・ロサンゼルス
Perrotin Los Angeles(ペロタン)
住所:5036 West Pico Boulevard, Los Angeles, CA 90019, USA
https://www.perrotin.com

ラグジュアリーとアートが交差するビバリーヒルズ、カムデン・ドライブ

ビバリーヒルズにはガゴシアンやサザビーズをはじめとするギャラリーやオークションハウスが集積するラグジュアリーとアートが交差するエリア。写真はロデオドライブ周辺。
ビバリーヒルズにはガゴシアンやサザビーズをはじめとするギャラリーやオークションハウスが集積する
ラグジュアリーとアートが交差するエリア。写真はロデオドライブ周辺。

次の目的地はビバリーヒルズ。アートとラグジュアリーが凝縮されたエリア、ノース・カムデン・ドライブ周辺だ。わずか数ブロックの中に、メガギャラリーのガゴシアン(Gagosian)、二大オークションハウスのクリスティーズ(Christie's)、サザビーズ(Sotheby's)が並び、新作から歴史的名作、さらにはジュエリーや時計までがシームレスに行き交う。

ストリートに面したオークションハウスは、散策の延長でふらりと立ち寄ることができ、気負うことなくトップクラスの作品に触れられる。フリーズ・ウィークにはこの一帯がひとつの社交場のように機能し、コレクターや関係者が行き交う華やかな空気に包まれる。ロデオ・ドライブもすぐそばにあり、ファッションとアートが自然に交差するのもこの街らしい。コンパクトなエリアに凝縮されたこの密度が、ロサンゼルスのもうひとつの表情をつくり出している。

ミニマルな建築に宿る、西海岸アートシーンの原点
ガゴシアン|Gagosian Beverly Hills

フリーズ・ウィークに開催されていたサラ・ジーの個展「Feel Free」の展示風景。Artwork © Sarah Sze Photo: Maris Hutchinson Courtesy Gagosian
フリーズ・ウィークに開催されていたサラ・ジーの個展「Feel Free」の展示風景。
Artwork © Sarah Sze Photo: Maris Hutchinson Courtesy Gagosian

まず訪れたのは、ガゴシアン。ビバリーヒルズの中心、カムデン・ドライブに面したこの空間は、アメリカの建築家 リチャード・マイヤー(1934-)による設計。白を基調としたミニマルな空間に、木製の樽型ヴォールト天井がやわらかなリズムを添える。外光が静かに回り込み、作品との距離を自然に整えてくれる。

ガゴシアンの原点がロサンゼルスにあることも、この場所に独特の重みを与えている。創業者のラリー・ガゴシアンはこの街でキャリアをスタートさせ、1980年代にはバスキアを西海岸に紹介するなど、LAの現代アートシーンを語るうえで欠かせない存在となった。その延長線上にある拠点として、この空間はどこか原点の気配も感じさせる。

サラ・ジーの個展「Feel Free」の展示風景より。Artwork © Sarah Sze Photo: Maris Hutchinson Courtesy Gagosian
サラ・ジーの個展「Feel Free」の展示風景より。
Artwork © Sarah Sze Photo: Maris Hutchinson Courtesy Gagosian
サラ・ジー《Sleepers》、2024年
ミックスメディア、紙、紐、ビデオプロジェクター、アルミニウム。空間全体に多数の紙のスクリーンが配置され、自然の風景、都市の喧騒、日常の断片的な画像などが映し出される。© Sarah Sze Photo: Maris Hutchinson Courtesy the artist and Gagosian
サラ・ジー《Sleepers》、2024年
ミックスメディア、紙、紐、ビデオプロジェクター、アルミニウム。空間全体に多数の紙のスクリーンが配置され、自然の風景、都市の喧騒、日常の断片的な画像などが映し出される。© Sarah Sze Photo: Maris Hutchinson Courtesy the artist and Gagosian

フリーズ・ウィークにあわせて開催されていたのは、アメリカの現代アーティスト、サラ・ジー(Sarah Sze)による個展「Feel Free」。空間全体を使った没入型の映像インスタレーションでは、無数のイメージが重なり合い、視覚の焦点が絶えず揺らぐ。あわせて展示された新作ペインティングも、デジタルと手作業のレイヤーが幾重にも重なり、現実とイメージの境界を曖昧にしていく。静かな空間の中で、情報が絶えず生成されていくような感覚が印象に残った。

施設情報|アメリカ・ロサンゼルス
Gagosian Beverly Hills(ガゴシアン)
住所:456 North Camden Drive, Beverly Hills, CA 90210, USA
https://gagosian.com/locations/beverly-hills/

巨匠たちの対話を提示する展示空間
サザビーズ|Sotheby’s Los Angeles

サザビーズではプライベート・セールのための特別展「Rothko and Frankenthaler」が開催された。Courtesy of Sotheby’s
サザビーズではプライベート・セールのための特別展「Rothko and Frankenthaler」が開催された。Courtesy of Sotheby’s

カムデン・ドライブに面したサザビーズのロサンゼルス拠点は、オークションハウスでありながら、街に開かれたギャラリーのような佇まいを見せる。通りからそのまま足を踏み入れることができる気やすさと、特別な空間の中で静か作品と向き合うことができる豊かさが共存する。コマーシャルフェアとは異なる、もうひとつのアート体験の場所だ。

特別展「Rothko and Frankenthaler」の会場風景。Courtesy of Sotheby’s
特別展「Rothko and Frankenthaler」の会場風景。Courtesy of Sotheby’s

この時期に開催されていた展覧会は、「Rothko and Frankenthaler」。マーク・ロスコとヘレン・フランケンサラーという、抽象表現主義からカラーフィールドへと連なる流れを形づくった二人をフィーチャーする。ロスコの深く沈み込むような色面と、フランケンサラーの染み込むように広がる色彩が同じ空間に置かれ、色彩をめぐる二つの異なるアプローチが響き合う。

特別展「Rothko and Frankenthaler」の展示風景。 Courtesy of Sotheby’s
特別展「Rothko and Frankenthaler」の展示風景。 Courtesy of Sotheby’s

ロスコが確立した、光を内側から発するような色面の構造は、20世紀絵画における決定的な転換点のひとつとされる。一方、フランケンサラーは、絵具をキャンバスに染み込ませる独自の技法によって、より開かれた空間性と流動的な色彩の広がりを生み出した。二人は同時代のニューヨークのアートシーンの中で交差しながら、それぞれのやり方で色彩の地平を切り開いていった。

ロスコとフランケンサーラーの作品が並置された展示風景。Courtesy of Sotheby’s
ロスコとフランケンサーラーの作品が並置された展示風景。Courtesy of Sotheby’s

本展は、こうした美術史を背景にしたプライベート・セールのための特別展示。美術館クラスの作品がコレクターに向けて差し出される空間は、マーケットの場でありながら、美術史の文脈そのものを体験する場でもある。フェアのブースで出会う同時代の作品とは異なり、20世紀美術の巨匠たちの仕事が、現在の市場と地続きのかたちで提示するオークションハウスという場所は、ロサンゼルスのアートの奥行きを改めて感じさせるものだった。

施設情報|アメリカ・ロサンゼルス
Sotheby’s Los Angeles(サザビーズ)
住所:Beverly Hills, CA 90212, USA
https://www.sothebys.com/en/about/locations/los-angeles?locale=en/

現代アメリカを映し出す、力強い個展
クリスティーズ|Christie’s Los Angeles

全長約15メートルにおよぶケリー・ジェームズ・マーシャルの木版画シリーズ《Untitled》1998–99年。編集部撮影
全長約15メートルにおよぶケリー・ジェームズ・マーシャルの木版画シリーズ《Untitled》1998–99年。編集部撮影

サザビーズがアメリカを代表する巨匠二人による対話的な展示だったのに対し、クリスティーズでは、アメリカの画家、ケリー・ジェームズ・マーシャル(Kerry James Marshall)の個展が開催されていた。同時代を牽引する重要な作家のひとりであり、西洋美術史の中で長く周縁化されてきた黒人の存在を、歴史画のスケールで描き続けてきた。中心となるのは、全長約15メートルにおよぶ木版画シリーズ。黒人の生活やコミュニティを壮大なスケールで描き出し、その不在を埋めるように、画面の中心へと力強く引き寄せる。

プライベート・セールのための展示でありながら、その内容は美術史の中で作家と作品にフォーカスされていた。厳密なスタイルと日常に根ざした視点。その両方を併せ持つマーシャルの作品展示は、この会場が単なるアートマーケットの会場にではないことを物語っていた。

施設情報|アメリカ・ロサンゼルス
Christie’s Los Angeles(クリスティーズ)
住所:Beverly Hills, CA 90212, USA
https://www.christies.com/events/christies-los-angeles/about

ウェストハリウッドにひらかれた、知的なギャラリー空間
ハウザー&ワース|Hauser & Wirth West Hollywood

ハウザー&ワースのウェストハリウッド拠点で開催のアーシル・ゴーキーの個展「Beyond the Surface」。編集部撮影
ハウザー&ワースのウェストハリウッド拠点で開催のアーシル・ゴーキーの個展「Beyond the Surface」。編集部撮影

夜はウェストハリウッドへ。通常であればギャラリーは閉まっている時間帯だが、この日は特別なイベントのために扉が開かれていた。世界的なメガギャラリー、ハウザー&ワースの2つ目のロサンゼルス拠点であるこの場所は、1930年代の自動車ショールームを改装した建物。スペイン植民地復興様式の外観を残しつつ、内部は天井高を活かした伸びやかな展示空間が広がる。白を基調とした静かな空間に夜の光が落ち、昼間とは異なる表情を見せていた。

フリーズ開幕前日に開催された特別なトークイベントには多くの聴衆が集まった。編集部撮影
フリーズ開幕前日に開催された特別なトークイベントには多くの聴衆が集まった。編集部撮影

開催されていたのは、アーシル・ゴーキーの個展「Beyond the Surface」のためのイベント。同展は1940年代の作品を中心に、ドローイングから油彩へと至るプロセスに光を当てており、ゴーキーの作品のバイオモルフィック(抽象的であると同時に何らかの生体を想起させるような曖昧で有機的な)な形態が浮かび上がる。なかでも印象的なのは、1941年にイサム・ノグチらとともにアメリカ西部を横断した旅を契機に生まれた作品群だ。広大な風景そのものではなく、手の届く距離にあるかたちや記憶に惹かれたというエピソードが示すように、ゴーキーの視線は常に内側へと向かう。その体験が、シュルレアリスムと抽象表現主義をつなぐ独自の視覚言語へと結実していく過程が丁寧に辿られていた。

展覧会「Beyond the Surface」では、アーシル・ゴーキーがイサム・ノグチらとともにアメリカ西部を横断した旅を契機に生まれた作品群が展示された。編集部撮影
展覧会「Beyond the Surface」では、アーシル・ゴーキーがイサム・ノグチらとともに
アメリカ西部を横断した旅を契機に生まれた作品群が展示された。編集部撮影
アーシル・ゴーキーの個展「Beyond the Surface」の会場風景。編集部撮影
アーシル・ゴーキーの個展「Beyond the Surface」の会場風景。編集部撮影

フリーズ開幕前日の今宵は展覧会のオープニングナイトでもり、アーシル・ゴーキーの孫娘コジマ・スペンダー監督による新作短編映画『ホライズン・ウェスト』の着席上映会と、監督自身も登壇するトークイベントが開催された。他にもアーシル・ゴーキー財団の代表であり作家の孫娘でもあるサスキア・スパンダーをはじめ、キュレーターや批評家たちも同席し、ゴーキーのドローイングと完成作のあいだにあるプロセスや、その後の抽象表現主義への影響について、具体的なエピソードを交えながらのトークが交わされた。会場は立ち見が出るほどの来場者で埋め尽くされ、熱気に包まれていた。

美術館に匹敵する、あるいはそれを凌ぐ規模と内容の展覧会、そして美術史的な文脈を掘り下げるトークが同時に展開される——そうした体験こそが、世界のトップギャラリーのクオリティであり、フリーズ・ウィークならではの醍醐味だと実感する一夜となった。

施設情報|アメリカ・ロサンゼルス
Hauser & Wirth West Hollywood(ハウザー&ワース)
住所:8980 Santa Monica Boulevard, West Hollywood, CA 90069, USA
https://www.hauserwirth.com/locations/40274-west-hollywood/

次回、ロサンゼルスのアートシーンを歩く、注目のサテライトフェアとギャラリー / アートフェアから始まる、都市とアートの旅へ|フリーズ・ロサンゼルス【後編 Vol.02】 に続く。

アートフェアから始まる、都市とアートの旅へ|フリーズ・ロサンゼルス 特集全INDEX
サンタモニカ空港から始まるLAのアートウィーク、フリーズ・ロサンゼルス(FRIEZE LA)
アートフェアから始まる、都市とアートの旅へ|フリーズ・ロサンゼルス【前編】

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「Frieze LA(フリーズ・ロサンゼルス)」を現地レポート。アーティストインタビューも!

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