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江戸時代後期に成立した多色摺浮世絵版画である錦絵は、役者絵や美人画、名所絵などで高度な表現を成し遂げ、日本美術を代表するものとして世界的に認知されています。一方、錦絵は江戸市中に無数に存在する絵双紙屋を通して販売されるという流通形態も与って、世の中の出来事や流行を伝えるメディアとしての役割も果たしました。
このメディアとしての性格は江戸時代末期に急速に強まっていきます。とくに天保の改革を機に風刺画のジャンルが成立してからは、世相を題材とした錦絵の中には、役者絵や美人画など既成のジャ ンルをしのぐヒット作も出てきます。
本展では、江戸時代末期から明治初期にかけての、戊辰戦争などの戦争や動乱、大地震、疫病の流行、多くの人々を集めた寺社の開帳や見世物、あるいは人々を熱狂させた流行現象など、激動する時代の 諸相を描いた錦絵を、その歴史資料的側面に光を当てて展示します。
江戸時代中・後期に行われた出版統制令は、幕府や大名家に関する話題や政治的出来事を主題にしたものを出版することを禁じていたので、規制をかいくぐるための表現も多彩に発展します。世相を題材とした錦絵を時代順や画題ごとに展示するだけでなく、既存の画題を隠れ蓑としながら、いかに人々に情報を伝えたのかについても紹介します。
| 会期 | 2025年3月25日(火)～2025年5月6日(火・振) |
|---|---|
| 会場 |
国立歴史民俗博物館
 Google Map |
| 展示室 | 企画展示室A・B |
| 住所 | 千葉県佐倉市城内町117 |
| 時間 |
9:30～17:00
（最終入場時間 16:30）
|
| 休館日 |
月曜日 月曜日が休日にあたる場合は開館し、翌日休館 |
| 観覧料 | 一般 1,000円（800円） 大学生500円（400円）
|
| TEL | 050-5541-8600 （ハローダイヤル） |
| URL | https://www.rekihaku.ac.jp/ |
5.0
個人的に錦絵と言うと敷居が高く、当時の庶民にどの程度浸透していたか分からずに訪問した。
しかしながら知識のない自分でも楽しめる解説と、まるでゴシップ誌、マンガのような面白可笑しさと分かりやすい絵のタッチに引き込まれた。
地震を模したなまずの錦絵のコーナーは世の中の職業の一喜一憂が見て取れ、流行り病への恐れやお守りの錦絵はいったい何枚の錦絵が出回ったのだろうと想像するのが楽しかった。
特に興味深かったのは戊辰戦争のコーナーで世間の混乱を客観視した錦絵が多く、庶民は錦絵を見て現実逃避ができたのではないかと感じた。
作者にスポットを当てるのではなく、時代の流れで錦絵を観ることができ、作者不明の錦絵を楽しめたのがよかった。
4.0
浮世絵と聞くと、葛飾北斎の「富嶽三十六景」や喜多川歌麿の「美人画」などの作品が思い浮かび、現在は日本を代表する芸術作品として扱われています。ですが今回の展示は幕末から明治にかけて時代の諸相を描いたメディアとしての側面に焦点が当てられています。風刺画等に分けて展示されていますが、各作品が何を伝えようとしているのか解説付きで展示されており、各作品の意味が分かりやすく理解できます。江戸時代末期の流行と庶民の関心や横浜開港や文明開化の様子を当時の人と同様に感じられます。展示作品を通して浮世絵（錦絵）の本来の役割を理解できました。歌川国芳、河鍋暁斎など有名浮世絵師の作品も展示されていますのでそれも目的に鑑賞しても良かったです。
ぜひ多くの人に企画展示 「時代を映す錦絵ー浮世絵師が描いた幕末・明治ー」を見てもらいたいと思いました。
また総合展示も見ましたが、国立のためか展示作品、模型が多く、日本の歴史や文化がより深く体感できました。
3.0
錦絵（浮世絵）の展覧会は作者単位で開催されることがほとんどですが、今回は「時代を映す」ということで、作者へのフォーカスなし、面白いトピック立てになっていました。歴博の常設展では、特に近現代のコーナーで「なぜこれを展示？」みたいなものがあるんですが、企画展示でも本領を発揮していましたね。
「鯰絵」「流行病」「幕末」「動物」などなど、事件・事変が起こるとワッと飛びついて、その都度ちょっと得する人と損をする人がいて、今も昔も変わらないなぁとニヤニヤしながら見ていました。
特に本物と海賊版を並べて展示していたのが面白かったですね。別々に見たら違いに気づけないかも。
久しぶりに行ったら常設展がリニューアルされていて、以前より親しみやすくなっていました。来訪者が増えるといいなぁ。
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