5.0
見どころ満点。”アール・デコの館”旧朝香宮邸にぴったりの展覧会。
「モダン」とは??ファッションからインテリアまで、日常生活のありとあらゆる分野で用いられる言葉ですが、今から凡そ100年前に、「モダン」は世界各地で同時性をもって広がりを見せました。「モダン」は単に「現代的な」というものでではなく、機能的でありながら、優れた装飾性を兼ね備えたデザイン、展覧会タイトルのように、「機能」と「装飾」の一見相反する両者が行ったり来たりシンクロしたところの「美」、といったところなのでしょう。そして「ポリフォニー」とはまた、音楽をやっていなければ耳にすることもなかった言葉でまとめてきたものだと、感心します。展示は、1900年から第二次世界大戦が始まる直前の1938年までの間に、ヨーロッパと日本で制作された約400点にも上る作品が集められていて、時代区分による4つの章に区切られています。また、扱うジャンルも幅広く、私の大好きな家具やテーブルウェア、照明器具にはじまり、壁紙やテキスタイルも、更に衣服や装飾品、装丁やポスター、そして建築や店舗デザインに至るまで、生活空間にとどまらず、都市空間にまで視点を広げて紹介しているのです。それも、超有名アーティストと共に、少々マイナーなアーティストの作品まで、自然に目が行くように展示されていて、それがまたとても素敵なんです。つい先日、Bunkamuraでマリー・ローランサンとココ・ムシャネルの展覧会で、美術や音楽、多ジャンルが越境し、限りある時の中で様々な才能が開花するという奇跡を、追いかけてきたばかりです。またしても、です。超人気アーティストばかりが次代を担ったわけではなく、まさに「ポリフォニー」のように多くのアーティストたちのそれぞれの才能が、美しく多重混声して響き合いながら、世界中へ広がっていたことを、見知ることができました。そしてこの「モダニズム」「モダニティー」が100年後の私たちに与え続けているものを、ひしひしと感じさせられました。さらにこれらがこの旧朝香宮邸の空間で展示されていることで、雄弁さを増していると実感しました。この展覧会は三館合同企画で、この後巡回する館に、私は行ったことがないため分かりませんが、ここほどの展示にするのは、きっとすごく大変だろうなと思います。ぐるっとパスでは日時予約不要ですが、一般は日時予約が必要だそうです。会期終盤なってもそれなりに観覧者は多いですが、… Read More