ミミズクの香合に全部もっていかれました!@藤田美術館
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- by morinousagisan

藤田美術館は、毎月3つのテーマで展示を行っています。1か月ごとに1つのテーマが代わり3か月ですべてが展示替えとなります。3月から5月末までの「儀」、4月から6月末までの「渡」、5月から7月末までの「香」が今月のテーマです。展示件数は30数件で、Wi-Fiを繋げてスマホで無料の解説を読んだり聞いたりできますし、撮影も可です。混み込みな状態はあまりなくて、自分のペースで、人がいればそこを避けて他を先に見たりしながら私はいつもじっくり拝見しております。毎日30分ほどの作品解説もあり、毎週何かしらのイベントが「土間」と呼ばれるエントランススペースで開催されています。あみじま茶屋でお茶だけという方も少なくありません。抹茶とお団子のセットを皆さん土間の好きな所に陣取って頂いておられます。SNSにあみじま茶屋でお茶するのがあがっているのか、お庭も自由に出入りできるので外国人観光客の立ち寄りスポットになっているようです。
では、今回の展示作品をピックアップしてご紹介しましょう。毎回どの作品を選ぼうかと思案します。

テーマ「儀」
祝賀、即位、祈り、そして別れなど儀式の際に使われた品や儀式を描いた作品を展示しています。
《刺繍種子文幡》や華鬘や歌聖の「柿本人麻呂像」など。珍しいところでは、古墳に埋葬された人の頭を支えるための枕《埴製枕》は、重要文化財に指定されています。魔除けのために赤い色が塗られ、表面に幾何学的な文様も施されています。
※「学芸員がやさしくアートを解説します│蔵出50選_05|重文 埴製枕 誰がこれで寝るんだ?」⇒◆
《老松尉姥鶴亀蒔絵三組盃/真塗花月台》絵師で漆工芸家の柴田是真による祝いの席の盃とその台です。おめでたい意匠の盃はもちろんですが、その台の脚側面の意匠が素晴らしい。台上の富士山に合わせて三保松原から仰ぎ見る富士山でしょうか。簡潔なデザインと技量の高さと抜群のセンスの良さ、祝いの席でも映えたことでしょう。

テーマは「渡」
海を渡って運ばれてきた舶来品は、古来より人々の憧れの的でした。「ハイカラ」だったでしょう。
年に1回展示される 国宝《曜変天目茶碗》も、何の特別感もなく独立ケースに鎮座されておりました。今回は照明がドンピシャだったのか、いつにもまして輝いているように感じました。
※「前野学芸員がやさしくアートを解説します。|入門50選_50 | 曜変天目茶碗 人々を魅了する神秘の美」⇒◆
藤田美ならではの壁面に組み込まれた展示スペースには、《黒屈輪唐花文香合》と《南蛮砂張平船花入》が展示されています。スマホを展示室で使うことが出来るので《黒屈輪唐花文香合》の堆朱の「ぐりぐりもん」をグッグッと拡大して視る。堆朱の漆の細かな層の重なりが見えて「おぉ~」と一人で盛り上がる。野村美や泉屋さんで拝見すると気持ちがあがる「砂張花入」、藤田さんの「砂張花入」はその名の通り「平船」です。壁面の展示スペースにはギリギリの幅だったとの、「うらばなし」にもなるほどねーと。

《古代裂帖 / 錦繍手鑑》も展示されております。茶人たちは、古裂を賞玩し、表装用や仕覆などに仕立てるために専用の箪笥を持っている方もいらしたようで、藤田家にも藤田箱の職人は常駐されていたそうで、仕覆を仕立てる職人もいらしたかもですね。裂帖、裂鑑、裂の色合いやデザイン、配置も考えて貼ってありそうです。遠州の裂鑑などは、遠州の美意識がビシビシと伝わってきますもの。大和文華館や野村美や藤田美では、表装にも目が惹かれます。

360度どの方向から眺めても異なった表情、風情がある茶碗で、何度も立ったり屈んだりしながら独立ケースの周りをグルグル回りました。釉薬が垂れて溜まっているところもええなぁと一人悦に入る。
※「学芸員がやさしくアートを解説します│蔵出50選_17|重文 御所丸黒刷毛茶碗 銘 夕陽 夕陽はどこに見える?」⇒◆

いかにも舶来品って感じで、ハイカラ!透かしが美しい。茶席に菓子器として出されたらと妄想してしまいました。

テーマは「香」
日本人の心と暮らしに寄り添い続けてきた「香り」の奥深い世界へ誘う。
重要文化財《交趾大亀香合》は、安政二年(1855)刊『形物香合相撲番付』では、東方最高位の「大関」に位置し、交趾つまりベトナム北部を通過する貿易船(交趾船)によってもたらされた大型の形物香合です。藤田傳三郎が恋焦がれ、大阪生島家の売立で明治45年に破格の9万円で買い取り、傳三郎の枕元に届けられた香合です。
この亀の香合も、見る位置により様々な表情があり、今回は「空飛ぶカメ」な感じに撮れた画像にしました。

《交趾木菟香合》のバックスタイルです。「交趾」とあることから、この香合も中国・明時代に福建省南部の民窯で輸出用に作られたやきもので、交趾(ベトナム北部)を経由して日本へもたらされたものです。この香合と目が合った途端に足が止まってしまいました。色もありますし、「ミミズク」ってどうなんって思ってしまったのでした。正面から見れば猫や狸にしか見えないけれど、愛嬌があります。解説のうらばなしに「ミミズクって言った人出てきなさいっ!」とあり、「それ!それなー」と思いました。こんな「木菟」観たことがあるように思いました。探幽に絵を習っていたという三代家光の絵にこんな「木菟」いませんでしたか?この香合も蒐集された藤田家に感謝です。

「香」を楽しみ、「香」を「聞く」、ゆかしい。香木は日本では採れず、インドや東南アジア由来のものです。「香棚」「香引出」時間の流れが違う異空間にあるような気がしてきます。

「生島家 所蔵品売立目録」には、重要文化財《交趾大亀香合》についての詳細な記載もあります。こうして入手時の売立目録も所蔵されて、展示されていることに感謝し、興味津々にじっくり拝見しました。
お庭とそのお隣、藤田邸跡庭園の新緑も美しく眩かったです。
藤田美術館HP:https://fujita-museum.or.jp/