「THE GOLDEN NAGOYA -名古屋の金の陶-」展を見て.

はじめに.
名古屋を拠点に、独自性のある企画展を展開する「Blackbird Gallery」で、「金」をテーマにした展覧会が開催されている。展覧会の案内によれば、「名古屋という都市が持つ“金”の文化を、未来へ更新するための展覧会」とのことだ。
名古屋城の天守を飾る金鯱をはじめ、この地域には「金」に対する独特な感覚が根付いている。会場には、茶碗、器、オブジェ、彫刻など「金」色の作品がずらりと並ぶ。これらの作品は伝統工芸の延長の枠にとどまらず、「金」にまつわる多様な解釈の成果を鑑賞者の眼前に提示する。
本展の参加作家は以下のとおり。
横山 玄太郎 / 青木 良太 / 金 理有 / 松村 淳 / 堀 貴春 / 伊藤 剛俊 / 森正 響一 / 鈴木 優作/ 永井 友雪 / 松下 直史。
キュレーションを担当した横山によると、世界的に認知された作家から、これから世界へ羽ばたく作家まで、名古屋に縁のある作家を中心としたグループ展になっているそうだ。本展の会期は7月31日まで。会期中には作品を使用した特別茶会も開催される。(要予約、有料)お茶の作法を簡単におさらいし、「金」色の茶碗で一服、楽しんでみてはどうだろう。

横山 玄太郎
「金」の粒で作られた鯱。なぜ、小さな丸いパーツで作品を作るのか、理由を聞いてみた。
「1つの小さな玉には、それほどの力はないが、小魚のように集まることで、エネルギーが伝わってくる。その集合体の面白さ、角の立っていない円の優しさ、親近感から丸い形を使っている。陶芸を始めて40年以上になるが、最近は、作品のデザイン、色などを絞り制作している。アイディアのミニマム化。1つのスタイルを長く続けることで、どんどんと認知度を高くしたい。」とのこと。名古屋という言葉から連想するイメージの代表ともいえる金の鯱の姿には、アーティストとしての明確な狙いが込められているようだ。

金 理有
作品全体に刻まれた文様と不可思議な形態が目を惹く。ユニークな作品の発想について聞いてみた。
「SFなどに登場する生命体のような有機物と無機物の融合する世界に興味を持っていた。縄文時代、つまり過去への視点とSFのような未来への視点が自分の中で共存していて、それを現在の土器として表現することがコンセプト。縄文土器は、なぜこれほどに装飾をつけたのか、その摩訶不思議さにすごく引かれている。」とのこと。
また、「焼き物が一万年以上残ることは縄文土器によって証明されているので、実は、作品をこっそりと琵琶湖に埋めておきたいと考えている。」とも話してくれた。もし、未来の考古学者が遺跡の発掘中に、この作品を発見したら、何と思うだろうか。きっと、その摩訶不思議さに驚き、楽しんでくれることだろう。

おわりに
その他の作品の展示の様子も少しだけ紹介しよう。
お茶の器と不可思議なオブジェなど。

ギャラリーの2階では、お茶会が行われた。

また、来場者参加型企画として「あなたの推し作品に投票」も実施される。ぜひ、会場で実際の作品に出合い、名古屋の「金」の文化を楽しんではいかが。
展覧会名:THE GOLDEN NAGOYA -名古屋の金の陶-
会期:2026年7月4日から7月31日
会場:Blackbird Gallery(愛知県名古屋市)
詳しくは、https://blackbirdgallery.studio.site/