Osaka Art & Design 2026 「Infinitize ~ソウゾウを解き放つ~」を巡る

はじめに.
今年で4回目の開催となる「Osaka Art & Design 2026」が始まった。本イベントは、大阪の街を巡りながら未知のアートやデザインに出会う周遊型エリアイベントだ。
今年のテーマの「Infinitize ~ソウゾウを解き放つ~」には、これまでの「Osaka Art & Design」の展開を、もっとパワーアップする狙いが込められている。さらに、同時期に大阪で展開される様々なイベント、例えば、ART OSAKA 2026(現代アートに特化したアートフェア)などとも連携し、大阪の街全体にアート&デザインの輪を広げることを目指している。会期は2026年6月23日まで。会場は梅田、堂島、中之島、京町堀、本町、心斎橋、なんば、阿倍野、および大阪市内の各所となる。展覧会を見た後や買い物に出かけるついでに、「Osaka Art & Design 2026」の催しにも足を運んではどうだろう。それでは、主だった展示・イベントをいくつか紹介しよう。
平子雄一(阪急うめだ本店)
駅のコンコースが丸ごと作品に埋め尽くされている。これは、自然光の入らない空間でも、力強く繁栄する植物を意識した≪LAMPENFLORA≫(照明植生)という作品だ。動物、植物、果物などのドローイングと樹木に手足の付いたキャラクターが、あちらこちらのショーウィンドウに並んでいる。時折、ショーウィンドウの向こう側を人影が通り過ぎる。その様子は、からくり人形に似ていて、おもしろい。もし、あなたが誰かと待ち合わせをするとしたら、どの窓の前がいいだろう。誰かを待ちながら、人間が介入するからこそ成立する疑似的な自然を意識してみよう。

ひとます美術館(大丸心斎橋店)
正式名称は、「大丸心斎橋店開業300周年 ひとます美術館 =未来へはばたくフェニックスの餐宴= 〈併催〉未来の大阪を担う子供たちへの チャリティオークション」という。ショーウィンドウと各階のエスカレーター前に作品が置かれ、エスカレーター前の作品は、大きな立体フレームの中に置かれている。「フェニックス」を共通のテーマとしているが、作家ごとにイメージする「フェニックス」には違いがある。中には大きな声で威嚇してきそうな「フェニックス」もいる。

ヤノベケンジ(高島屋大阪店)
今、大阪の街のあちこちで見かける≪SHIP’S CAT≫が、水回りのショースペースにも縄張りを広げている。床の敷物、椅子、マグカップ、バスタブなど、多くの製品が猫化している。アートを日常生活に取り込む事例として、猫好きにはたまらない企画だろう。手頃なグッズ類も豊富に揃っている。ただし、中には非売品も展示されているので、気になるものは担当の人に聞いてみよう。

米山舞(グランフロント大阪)
≪Reflection≫は、イラストレーター、映画監督として活躍する米山による大型の屋外作品だ。説明によれば、本作は「二次元の線が三次元の立体に現れる」という表現をコンセプトにしているそうだ。アートプロジェクト「ART SCRAMBLE」のサポートにより、本作以外に、うめきた広場などにも展示がある。それは、見る人の足元だったり、目線の上だったりするので、いつもより少しだけ注意深く周りを観察してみよう。

大竹舞人(淀屋橋ステーションワン)
≪編む、つなぐ、ひらく≫は、カラフルな立体作品だ。多くの人々が行きかう地下鉄などの連絡通路に面したロビーに置かれ、とても目立っている。巨大な作品だが、すべて作家が手編みしており、3Dプリンタなどのデジタル機器は使っていないそうだ。ところで、本作を見て、何かに似ていると思う方はいるだろうか。作家は、具体的なものに似せて制作していないと言うが、マフラーをかぶった人物の横顔に見えてしまうのだが。

HAKU by SWAG(アートエリアB1)
≪Resonance≫と名付けられた本作は、≪WIND≫、≪SURFACE≫、≪ROOT≫、≪HORIZON≫の4つの作品で構成された大型のインスタレーションだ。過去の気象データをもとに、無数の細長いリボンが揺れる様子で当時の風を視覚化したもの、音波で空間がゆがむ様子を薄いミラーシートに映したものなど、体験型の作品になっている。≪Resonance≫の意味は、「共鳴」、「反響」、「共感」。キーワードは「目に見えないエネルギー」、「見えない巨大なリズム」、「共鳴箱」。鉄道の駅の地下で不思議な光景を体験できる。

受け継がれる椅子の美学(カール・ハンセン&サン大阪)
椅子を構成するパーツが並んでいる。ただパーツが並べてあるだけで、その光景がとても素敵な壁飾りに見えてしまう。これらを組み立てると、座り心地のしっかりとした椅子になる。その他にも、デザイン的な構造と実用的な機能がバランスした素敵な家具が並んでいる。この空間自体も、とても居心地の良いものに思えた。

WAILEA meets MOBJE(WAILEA)
帽子づくりの技術を使ったインテリアが並んでいる。小物入れ、花瓶のカバー、照明のカバー、テーブル上のアクセントなど、使い方はいろいろ。曲げたり、折ったりできるので、気分により自分で形を変えることができる。中に鏡をセットし、壁掛けにしたものもある。これは、鏡を隠しつつ、さりげないエチケットへの配慮を実現しており感心した。先ほどの椅子のように、デザインと機能のバランスがおもしろい。

ART OSAKA 2026
パートナーイベントの「ART OSAKA 2026」の様子も紹介しよう。「ART OSAKA 2026」は、現代アートに特化したアートフェアだ。今年はコングレスクエア グラングリーン大阪とクリエイティブセンター大阪の2会場で開催される。今年からサブセクションの見直しが行われ、映像作品を展示・販売する「Screening」が登場するなど、ギャラリーごとの視点や作家の表現をより明確に読み取ることができるようになった。各会場とも初日から賑わっていた。

おわりに
紹介した作品の他に、もっと多くの作品を街なかで見ることができる。また、作品展示以外に、ワークショップ、トークショー、ガイドツアーなどの企画もある。(注、予約の必要なものもあり)さらに、パートナーイベントとして、「ART SCRAMBLE」、「ART OSAKA 2026」、「ちゃやまち推しフェスティバル」、「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(イケフェス大阪)」とも連携し、大阪の街を広くカバーしている。展示やイベントによっては、買い物するつもりの目線で見て回ると、もっと楽しいと思う。普段行かない大阪の街を、あちらこちらと気軽に周遊してみてはどうだろう。
イベント名称:Osaka Art & Design 2026
会期:2026.5.27(水)から6.23(火)
エリア:梅田 / 堂島 / 中之島 / 京町堀 / 本町 / 心斎橋 / なんば / 阿倍野 / 他 大阪市内各地
詳しくは、https://www.osaka-artanddesign.com/