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REPORTS【レポート】

キュンチョメ「あいまいな地球に花束を」

会場入口

はじめに.

Gallery & Restaurant 舞台裏(麻布台ヒルズ内)で、キュンチョメの個展「あいまいな地球に花束を」が開催されている。彼らの展示は、「あいちトリエンナーレ2019」で注目して以来、「六本木クロッシング2022:往来オーライ!」など、折々に目にする機会があった。映像やインスタレーション、さらに参加型パフォーマンスを制作する彼らの作品は、初めて見た時のインパクトが強い。そして、作品に驚かされた後、自分はなぜ、共感するのか、反発するのか、考え始める。最初は言葉にならない作品の印象を、自分の中でゆっくりと味わう楽しみ方は、本展でも同様だ。今回は、レストランが会場なので、まさに食事を味わいながら楽しむことができる。


あいまいな地球に花束を

展示スペースの中央に、青い球形の立体作品が置かれ、花が添えられている。白くて丸い台に載せられた花瓶のような作品の表面には、なにやら白っぽい模様が描かれている。模様を観察すると世界地図のようだが、どれも自分が知る世界地図とは異なる。他人が思い描く世界と、自分が思い描く世界とは、これほどにも違うということか。SF小説に登場するパラレルワールドのイメージと重なる部分もあり、それぞれの世界で、どのような植物や動物、人々が暮らしているのか、とても気になる。


展示風景 ≪あいまいな地球に花束を≫部分 2025

あなたの傷が癒えますように

こちらに目線を向けた茶色い犬が映っている。その犬の皮膚のところどころは、毛の色に似た糸に覆われ、デコボコになっている。伸ばした手足と腰の部分のデコボコした刺繍は、犬が負った傷を癒すために、作家の手で一針ずつ縫われている。のんびりとした絵柄だが、自分以外の生き物の傷と痛み、それと共鳴する自分の傷や痛みを連想させる。いつか「あなたの傷が癒えますように」、人ではない彼らと自分たち人間の心の中で念じる言葉が聞こえてくるようだ。


展示風景 ≪あなたの傷が癒えますように≫部分 2025

Ghost in the Ocean

青色が印象的な映像作品。人の形をしたビニールの破片が、小魚の大軍を背景に、フワフワと漂っている。小魚の群れに同化しないビニールは、自然分解されない海洋ごみの問題を提起しつつ、自然とのつながりを欠いた孤独な人間たちを象徴するかのようだ。手前に置かれた≪あいまいな地球に花束を≫で表現される様々な世界と、そこに広がる海洋と、多くの生命たち。小さなものから、大きなものまで、無数のつながりと循環をイメージさせる作品だ。上映時間は約11分。


展示風景 手前:≪あいまいな地球に花束を≫部分 2025、奥側:≪Ghost in the Ocean≫ 2025

おわりに

関連イベントとして、アーティスト本人たちによるトークイベント(事前申込、無料)や、≪400万年を食べる≫コース料理体験会(日時限定、事前申込、有料)なども開催される。また、食べて持ち帰る作品として≪花と海と平和を待つためのかき氷≫(有料)の提供もある。

美術館の展覧会とは異なり、「ギャラリーであり、レストランでもある場所」だからこそ実現した展覧会。見て楽しみ、味覚でも楽しみ、おしゃべりも楽しみ、あいまいな地球に心の花束を贈りあうのはどうだろう。

 

 

展覧会名 キュンチョメ 「あいまいな地球に花束を」

会期 2026年4月15日から5月31日

会場 Gallery & Restaurant 舞台裏(麻布台ヒルズ内)

 

詳しくは、https://artsticker.app/events/119990

 


プロフィール

ヒロ
現代アートを中心に、展覧会やアートフェアを見ています。
展覧会やアートフェアで、ピンとくる作品に出合えると、うれしいです!
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