4.0
掛け軸のウラの世界
昨年修復された、京都二尊院の《二十五菩薩来迎図》全17幅、美しかったです。
会場の出口では、修復のようすも映像で流していました。
職人さんが、経年でシワシワになった掛け軸から、古くなった裏打ち紙を、ベローンと剥がしたと思ったら、新しい紙を貼り、少し大きめのブラシで何回もトントン叩いてます!
室町時代の掛け軸、裏側とはいえ、そんなに叩いて大丈夫?と見ていたら、いっしょに行った娘が、
「コレ、私もやった!」と言います。
高校時代、書道部だった娘、作品を展示するのに「裏打ち」をしたらしい。
「裏打ち」って、東洋の書画の補強方法として普通に行われているようです。
知りませんでした。
検索したら、今回の修復レポートを見つけました。
府中市美術館学芸員の金子信久さんも取材協力されています。
古書画店 松本松栄堂サイト
https://artsalon.jp/repair0001/
それによると、掛軸は50~100年ごとに修理が必要らしいですが、《二十五菩薩来迎図》は、370年ぶりの本格的な修理です。
それと、「裏打ち」って1枚じゃないことも知りました。
本紙(作品)
↓
肌裏 ハダウラ、 今回は本紙にダメージを与えるため剥がさず
↓
折れ伏せ、 細い美濃紙で折れや亀裂を補強
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増裏 マシウラ、美栖紙を使用
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総裏 ソウウラ、宇陀紙を使用
映像でベローンと剥がしていたのは、一番裏側の総裏のようです。
また、接着には小麦デンプン糊を5年から10年ほど寝かせて発酵させた古糊を、更に水で薄めて使います。
そして、古糊と裏打ち紙を馴染ませるのにトントン叩くのは必要な工程だそうです。
映像で、かなり音がしていたので心配しましたが大切なんですね。
二尊院本堂を再現した展示も良かった。襖に掛け軸。こんなやり方もあるんですね。