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女性画家59人の同窓会です。
担当の小川さんの講演会に合わせて後期展示を観てきました。
本展覧会の全体像や流れ、展示されている作品や画家、画塾については、内覧会に出かけた際の「鑑賞レポート『裾野が広かった大阪の女性日本画家たち』に書いておりますので、今回は講演会について書きたいと思います。
内覧会ではまだ展示されていなかったメインヴィジュアルの笹紅をさした島成園 《桜花美人》やチラシにもなっていた《影絵之図》も良い絵でした。見たかった三露千鈴の遺作となった《化粧》可愛いらしかったですよー。船場のええしのお嬢さんって感じで。
担当の小川さんは同時開催の大人気のモネ展も担当されており、どんなに大変だろうかと。モネと生没年が同じ画家が本展にも居ました。南画家でもあった跡見花蹊です。「大阪の女性画家たちの59人の同窓会です」の言葉で始まりました。
この日の講演は「女性が絵を描くこと 百年前の大阪を追想して」でした。
展覧会構成の説明に続いて、「女性画家に関する、さまざまな『なぜ』」
この展覧会は現在のジェンダー問題にも繋がっていました。
本展では用語にも気をつかわれたようで、タイトルの「女性画家」の英語表記も” female”でなく”women”painters としたり、「弟子」を「門下生」や「教え子」としたり、「閨秀」「女流」「女らしい」「女性ならでは」などの言葉にも気を付けたとおしゃっていました。ハッとしました。私などもついつい「女性ならではの表現」などと使いがちです。
南画家の融紅鸞は、タレントとしても活躍し1957年からラジオ大阪の人生相談は人気の番組だったそうです。「あんさん別れなはれ」が決めセリフだったとか。聴講するお客さんの中にも高齢の方は聴いたことがあると手を挙げておいででした。特別にラジオ大阪に残る当時の放送を聴かせて頂き、紅鸞の的を得た軽妙な回答のなかに面白味もあり時代も感じました。
本展最後にある作品は成園が1924年に描いた自画像です。ちょうど今から100年前に描かれた自画像で、当時は日本画で自画像を描くのは稀であったようで、それでも自分を見つめて描いた成園の心はいかばかりだったでしょう。
今後はこのような大きな括りの展覧会でなく、個々の画家や画塾などのグループの展覧会として開催されるだろうとのことでした。上村松園展があるなら、ぜひぜひ「島成園展」開催してほしいです。